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■解決事例集

このページは、過去に「解決バンク」に寄せられたご相談への、専門家会員の方々からの回答をまとめた物です。

こんなトラブルにも、「解決バンク」に加入していれは、あれこれ悩む必要はありません。電話1本で解決に向けた行動が開始できるのです。
是非、ご参照ください。

*以下は法務的な解決事例が多くなっていますが、実際にはコンサルティング的な課題解決の事例が多数を締めています。
ただし、そうした事例は守秘義務の問題もあり、また、結果のみしか表示しにくいため、現状では割愛しています。ご諒承ください。

取引先とのトラブル
顧問等のトラブル 経営コンサルタントの指導ミスで経営が悪化したら
商号・商標のトラブル ライバル会社が根も葉もない噂を流していた
特許・実用新案権 退職した職員が在職中の発明を特許出願していた
退職後ライバル会社への再就職を禁止したら?
意匠・デザイン
事故・病気 過労死の疑いがあるときは?
営業秘密 取得した情報が不正に入手されたものだったら?
正社員が顧客情報を他社に漏洩したら?
独自の仕様で発注していた製品と同一品を下請け会社がかってに製造販売していたら?

独自に作成したマニュアルが他社で使用されていたら?
雑誌に紹介された他者の経営ノウハウをまねたら?
事業活動 ビジネス情報誌に会社の社内事情を掲載されたら?
記入間違いの小切手を受取ったら
偽造手形を受取ってしまったら
ウェブページのデータを改ざんされたら?



◆売掛金の回収を忘れていたが回収できるのか◆
取引先の売掛金を長い間回収するのを忘れていました。 急いで回収にいったところ昔のことで覚えていないといわれ、支払いを拒否されてしまいました。この売掛金はもう回収できないのでしょうか?

     ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
 
 まず売掛の事実、売掛金未収の証拠をできれば書面で用意し、再度A社との話し合いに臨むべきでしょう。それでも、先方が白を切るのであれば、最終的には裁判に訴えて強制的に履行をはかるしかありません。この際は時効(消滅時効)に気をつけておくべきです。

 今回問題となっているのは「売掛金」ですから、民法の規定によって2年の消滅時効にかかります。この時効期間がすでに経過しているのであれば、たとえ裁判に訴えてもA社から時効を援用されると売掛金の回収は事実上不可能です。

 ただ、まだ、時効期間が満了していないのであれば、取り合えず早急に時効中断の手続きをとることがのぞましいでしょう。これを行わずに交渉をつづけると、交渉が漸く合意に達せそうになったときには消滅時効などということにもなりかねません。
 
 時効を中断する方法としては、まずは「催告」が手軽でしょう。催告は様式は定まっているわけではありませんが、後日の証拠とするために内容証明郵便でA社に郵送しておくことが望ましいでしょう。これから、半年以内に支払われれば問題はありませんが、それがなされない場合は、訴訟を提起するなどの手続きを踏む必要があります。

 @@消滅時効@@
 権利を長期間行使しなかったために権利が消滅してしまう時効。時効にはこのほかに、長時間権利者であるかのようにしていたために真の権利者とみなされる「取得時効」があります。また、消滅時効でも債権の種類に応じて期間が異なります。

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◆取引先が品物の代金を払ってくれない◆

約束の期限が過ぎたにもかかわらず、取引先が品物の代金を支払って くれません。どのような対処をしたらよいでしょうか?

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 売買契約で買主が、期限までに代金を支払わないのですから、これは典型的な債務不履行(履行遅滞)に当たります。その為売主としては損害賠償(遅延賠償)を請求することが可能です。代金債務は、金銭債務ですから、特に契約に定めがなければ損害賠償額は法定利息によって定まることになり(遅延利息)、契約で定められた支払い期限から実際に代金が支払われたひまでの期間の遅延利息を買主に請求することができます。場合によっては、売買契約を解除することも考えられます。この場合、買主に対して相当の期間を定めて支払いを督促し、その期限までに支払いがないことは条件となります。

 しかし実際の取引実務では、実情に応じて柔軟に対応すべきでしょう。第一に、遅延利息を請求しても買主が任意にその支払いに応じてくれなければ最終的に裁判に訴えてこれを実現するしかないので、その時間と手間を考える必要があります。

 第二に契約を解除した場合は、現状回復が原則ですから納入した商品は取り戻すことになります。が、特注品のような場合、他への転売は困難ですから、結局損害賠償(補填賠償)によらざるを得ませんが、上記と同様の問題に加え、賠償額をめぐってさらに争いが大きくなる可能性もあります。

 買主である取引先との今後の取引関係に与える影響や、取引先が代金を支払わない理由、例えば単に支払日をわすれていたのか、何か取引に不満をもっていて故意に支払いを引きのばそうとしているのか、あるいは倒産寸前で支払いが滞っているのかも十分に考慮して対処する必要があるでしょう。
 
 @@債務不履行@@
   債務者がその債務の本旨に従った履行を為さないことをいいます。これには三つの類型があります。
 
 「履行遅滞」
 履行期において履行が可能であるにもかかわらず、債務者が履行期を過ぎても債務を履行しない場合

 「履行不能」
 債権が成立したときには履行が可能であったものの、その後履行が、不能になった場合。

 「不完全履行」
 一応履行は為されたものの、それが不完全である場合。

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◆予定日に商品を納入できなかった場合の責任はどうなるのか◆

台風の影響で倉庫が浸水してしまい、納品を待つばかりだった商品 がビショ濡れになってしまいました。納品日明日ですが、とても納品できそうにありません。どうしたらよいでしょうか?

     ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
 
 ◆まずは買主に連絡を◆
理由が何であれ納品が遅れることが判明した以上、まず買主にその旨を連絡すべきでしょう。もし買主が納品猶予してくれれば、一応債務不履行は避けることができます。また、たとえそれが適わないとしても、買主は商品の納入が遅れることを前提に、しかるべき対応をとるでしょうから、いささかでも買主の損害は回避される可能性があり、このことは結局売主に跳ね返ってくることで損害賠償の額に影響を与えることもあります。

 ◆納品を猶予してもらえなかった場合◆
 この場合は、一応債務不履行責任を覚悟しなければなりません。債務不履行の原因が台風の影響による倉庫の浸水であり、天災という側面も否定できませんが、通常規模の台風であれば浸水しないような倉庫を備えて置くべきだったとも考えられ、売主に全く責任がなかったとしても責任を免れられるかは疑問です。となると、法律上は前述のような履行遅延による遅延賠償あるいは履行不能による遅延賠償は行わなければならず、また場合によっては買主より売買契約が解除される可能性もあります。こうした、最悪の事態を避けるためにも直ちに責任者が先方に出向いて、十分に事情説明し誠意をもって謝罪するとともに改めて納入可能日を伝えます。さらに貴社社の責任が明らかな場合には、損害については、後日誠意をもって交渉に応じる旨を伝え、少なくとも取引先との信頼関係だけは保つようにする必要があるでしょう。

 いずれにせよ、リスク管理と納期は猶予をもってクライアントに伝えて置くことがベストです。そして何事も根底にあるのは、誠意のある対応あってこそといえるのではないでしょうか?

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◆倒産しそうな取引先への対処はどうすればいいのか◆

支払日を度々繰り下げていた取引先が、とうとう倒産するのではないかとの噂を聞きました。この会社に対して多額の売掛金がありますがどうしたらよいでしょうか?

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 ◆まずは噂の確認を◆
 倒産の噂がでてもすぐに倒産するとは限りません。よく確認せず、あせって回収に走り、実は取引先がまだ大丈夫なのにもかかわらず、かえって関係を悪化させることにもなりかねません。ただ、度々の支払い日の繰り下げがあった場合は恐らく間違いはないかもしれません。

 ◆まずは足元の確認◆
 慌てて回収に走る前に、まず、自社の足元を固める必要があります。冷静に自社との取引バランス、契約内容・担保・保証の状況を確認しましょう。

 ◆回収財源◆
 債権回収を確実にするためには、回収すべき財源があるか、迅速に回収できるかについて、あらかじめ注意を払っておく必要があります。日頃の取引状況から取引先に万一のことがあれば、なにが回収の引き当てになるかを考えておくべきです。

 ◆取引先との債権債務の確認◆
 このままでは取引先は倒産必至である場合、取引先に対してどのような債権がどれくらいあって、逆に債務はどのようなものが、いくらあるのか、相殺は可能か、クレーム等で未解決のものはないか、契約は成立したが、未出荷の商品や下降中の商品はないか、などを確認します。債権債務のバランス表を作って確認するのがよいでしょう。また、回収行動に移った場合に回収すべき財源はどのようなものがあるかもリストアップします。

 ◆再建の見込度合いによる方針の決定◆
 取引先に対してどのような方針で臨むかを全社的な立場で検討します。方向がきまったらその方針にしたがって組織的に回収行動に移ることです。その際、大切なのは取引先の立ち直りの可能性です。ある程度の支援で立ち直りが可能なら、強引な回収より、支援方針で臨んだ方が得策の場合もあります。特に、販売ルートとして欠くことのできない取引先であれば、出来る限り生き延びてもらうことを考える必要があるでしょう。その見込がないとすれば、回収を進めることになりますが、その場合
も今すぐ回収するか、取引を縮小しながら、計画的に撤退するかの判断も重要です。取引先の倒産が逼迫していないようであれば、計画的に債権額を減らしていく方針をとるべきでしょう。

 ◆回収行動◆
 今すぐ倒産ということでなければ、まず支払いの督促をして期限の利益の喪失状況を作っておく必要があります。売掛金は出来るだけ、手形債権にしておいた方がよいでしょう。 その際はしっかりとした会社が振り出した手形を回り手形として受けとるよう交渉します。最も融通手形をつかまされると余計に回収が、困難となることが多いので回り手形であれば何でもよいというものではありません。未出荷の商品があれば、出荷の差し止めをします。この場合も契約上は一応出荷義務がありますので、相手方の信用不安が確実である場合でなければ相手方の同意を得ておくことが望ましいといえます。


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◆倒産した会社から売掛金を商品で回収するにはどうしたらいいか◆

取引先の会社が倒産してしまいました。売掛金が残っていますが、その回収が無理なら、せめて売り渡した会社の商品を回収したいと思います。倒産した会社から商品を回収するにはどうしたらよいでしょうか?

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 ◆自社売り商品の持ち帰り◆
自社が販売した商品が販売先の在庫として残っている場合は、相手方の同意を得てこれを持ち帰ります。同意を得るべき人は、相手方会社で商品の管理処分権を有している人です。社長の承諾があれば、一番よいのですが、商品の売買について権限を有していると見られる部課長が了承してくれるのであれば、それでもよいでしょう。権限のないような平社員しかいないような場合は、商品がなくならないように、当社で管理させてもらうことを説得して、できるだけ交渉しましょう。ただ、この場合は単に管理のため、保管するだけですから、商品明細を書いたり預り証を交付するようにします。

 了解を得られる場合は、合意解約の形で返金するのが一般的ではないかと思います。代物弁済として受け取る場合は商品の代価を適宜評価していくらの価格で代物弁済に充当するかを明らかにした領収書を交付してください。

 ◆他社売り商品の持ち帰り◆
  商品で回収する場合は自社売り商品を第一に回収の引当にすべきですが、それだけでは債権額に満たないことが多いでしょう。その場合に相手方が他社売り商品の持ち帰りを認めるならば、その商品を適当に評価した価格で代物弁済として受け取ります。事務処理は自社売り商品の代物弁済と同じですが、この場合は詐害行為取消や否認の対象になって後から取り戻されることがあります。それでも相手方が承諾している限りやはり持ち帰ったほうがよいといえます。


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◆債務不履行責任について◆

約束の期限が過ぎだにもかかわらず、取引先が品物の代金を払ってくれません。このような場合は債務不履行として損害賠償請求ができると思いますが、債務不履行責任の内容や対処のしかたなどについて教えてください。

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◆債務不履行責任とは◆
 債務者がその債務の本旨に従った履行を為さないことを「債務不履行」と呼びますが、この債務不履行には次の3つの類型があります。

1、履行遅滞
  履行期において履行が可能であるにもかかわらず、債務者が履行期を過ぎても債務を履行しない場合

2、履行不能
  債権が成立したときには履行が可能であったものの、その後履行が不能になった場合

3、不完全履行
  一応履行はなされたものの、それが不完全である場合これらのいずれかに該当し、しかも、それが債務者の責任によるもので、かつ履行しないことが違法な場合には、債務者に債務不履行責任が生じます。

◆債務不履行責任の内容◆
 債務者に以上のような債務不履行があると、債権者は被った損害の賠償を請求することができます。損害賠償は原則として金銭によってなされます。まず、1の履行遅滞の場合には、履行が遅延したために生じた損害が賠償されることになります(遅延賠償)。また、履行するよう催告したにもかかわらず債務者がなおも履行しないときは、契約を解除して損害賠償を請求することも可能ですが、この場合には、次に述べる填補賠償から解除によって免れた債務等を差し引いた残額が賠償されるべき額となります。次に2の履行不能の場合には、本来なされるべきであった給付に代わる損害が賠償されることになります(填補賠償)。また、契約を解除して損害賠償を請求することも可能なことは履行遅滞の場合と同じですが、そもそも履行が不能なのですから催告は不要です。3の不完全履行の場合には、債務者があらためて完全な給付(追完)をしても本来の目的が達成できないときは填補賠償または不完全な履行により履行遅滞となるときは遅延賠償を請求できます。また、契約を解除して損害賠償を請求することも可能ですが、追完可能な場合は解除の際に催告を要し、追完不能な場合はこれを要さないと考えるべきでしょう。

◆損害賠償の範囲◆
 債務不履行により賠償されるべき具体的な損害の範囲を画定することは必ずしも容易ではありませんが、債務不履行により通常生ずべき損害(通常損害)および当事者が予見していたか、予見すべきであった特別の事情によって生じた損害(特別損害)、つまり債務不履行と相当困果関係にある損害が賠償されるべき損害の範囲ということになります。

◆遅延利息◆
 なお、売買契約における売買代金債務などの金銭債務の不履行については、履行不能は認められず常に履行遅滞となり、しかも、その賠償額は特約がなければ法定利率(民事は年5%、商事は年6%)によって定まります。

◆損害賠償と契約解除◆
 売買契約で買主が期限までに代金を支払わないのですから、これは典型的な債務不履行(履行遅滞)に当たります。したがって、売主としては損害賠償(遅延賠償)を請求することが可能です。代金債務は金銭債務ですから、特に契約に定めがなければ損害賠償額は法定利率によって定まることになり(遅延利息)、契約で定められた支払期限から実際に代金が支払われた日までの期間の遅延利息を買主に請求することができます。また、場合によっては売買契約を解除することも考えられます。この場合は、買主に対して相当の期間を定めて支払を督促し、その期限までに支払がないことが条件となります。
 
◆損害賠償の損得勘定◆
 以上が法律上の理論ですが、実際の取引実務では取引の実情に応じた柔軟な対応が必要です。第一に、遅延利息を請求しても買主が任意にその支払に応じてくれなければ、最終的には裁判に訴えてこれを実現するしかありませんから、その時間と手間を損得勘定に入れておく必要があります。第二に、契約を解除した場合は、原状回復が原則ですから納入した
商品は取り戻すことになります。しかし、その商品が特注品のような場合、他への転売は困難ですから、結局、損害賠償(填補賠償)によらざるを得ませんが、上記と同様の問題に加え、賠償額をめぐってさらに争いが大きくなる可能性もあります。この他、買主である取引先との今後の取引関係に与える影響や、取引先が代金を支払わない理由、例えば単に支払日を失念していたのか、何か取引に不満をもっていて故意にし針を延ばしているのか、あるいは倒産寸前で支払いが滞っているものかなども十分に考慮して対処する方法があるでしょう。

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◆経営コンサルタントの指導ミスで経営が悪化したら◆

新規事業を行う為、経営コンサルタントにマーケティング戦略の指導を依頼しました。ところが、指示に従って、事業活動を行うと、経営が悪化してしまいました。指導内容が悪かったとしか思えないのですが、どうにかならないでしょうか? 

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 この件ではコンサルタントの提案・指導に従って事業活動を進めたところ、成果が上がるどころか、経営が悪化するという最悪の結果になってしまったようですが、コンサルタントの提案を受け入れて、実践に踏み切ったのは、あくまでも会社であり、コンサルタントその人ではありません。コンサルタントは助言者であり、経営者ではありません。提案書を作成しプレゼンをすればその役割を終えることとなります。

 提案を受け入れるかどうかは会社の意思決定です。会社はその提案を十分検討することが、できたはずです。会社の経営戦略にあうものかどうか、現在の体力からみて無理がないかどうか、過大な資本投下を要するか否かなどあらゆる面からの検討が必要となります。

 その結果、提案を受け入れて実践に踏み切ったわけですから、その結果は自らが甘んじて受けなければならないのです。もし十分な検討も加えずに、提案を鵜呑みにしたのであれば、経営権の放棄に等しく経営責任は極めて大きいということになります。コンサルタントに責任を転嫁することは許されません。

 残念ですが、料金の支払いを免れることや損害賠償を請求することは困難です。

 他力本願で経営はできない、経営は変らないということの事例でした

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◆ライバル会社が根も葉もない噂を流していた◆

新製品の売り込みに得意先を回ったところ、いつもの様子でなく、よそよそしかったので、おかしいと思い調べたら、ライバル会社が新製品についてよくないという噂を流していることがわかりました。この噂の対応はどのようにしたらいいのでしょうか?

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◆まずは自社の防衛策を◆
 新製品の販売に影響が出ているようであれば、すばやい対応が必要です。噂の出所がわかっているのであればまずは、自社の製品の販売を優先したほうがよいでしょう。製品に不備のないことを取引先に説明し、取引先の信用を回復することが先決です。

◆噂の根を絶つ◆
 その上で、噂を流したライバル会社に対する措置を検討する必要があります。法的には
 1)信用毀損罪および業務妨害罪として刑事制裁を求める
 2)不法行為ないし不正競争として損害賠償を求める
 3)不正競争として信用回復措置を求める
 4)不公正な取引方法として公正取引委員会に報告し、排除措置を、
 求める、といったような手段が考えられます。

 まずは先方にこうした手段に訴えることも辞さない構えで正式な謝罪と再発の防止などの誠意ある対応を求めます。これに応じてもらえるようであれば、まずは目的は達成されたところといえるのでないでしょうか?

 もし、先方が応じないようであれば、前述のような法的手段に訴え、賠償や制裁を求めることも検討しなければなりません。
 ただしこの場合には逆に貴社に対する取引先やマスコミの飯能などを十分計算にいれて慎重に手段を選択したほうがよさそうです。

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◆退職した職員が在職中の発明を特許出願していた◆

当社の技術者が、在職中に完成させたが社内では不採用となった発明について、退職後、自己名義で特許出願してしまいました。当社はこの特許を実施できないのでしょうか?

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 ◆職務発明とは◆
  特許法において、特許を受ける権利を有することができるのは、その発明を実際に行った者と規定されています。これは、発明者が企業等の従業員として発明を行った場合でも変わりません。しかし一方、従業員にのみ発明に対する権利を認めることは、その発明の完成のために資金・設備等を提供した使用者にとって、不公平な扱いとなってしまいます。したがって、特許法では、次のような条件を満たす場合、従業員が行った発明(職務発明)について、従業員が特許を受けたときは、その特許について使用者に通常実施権を与え、従業員がなした発明にかかる特許を実施する権利を認めています。この場合、使用者は従業員に対して、通常使用権を受けることに対する対価を支払う必要はありません。

1、発明の内容が、使用者の業務範囲に属すること

法人の場合、通常は、定款に定められた業務をいいますが、 これに関連するような事業で あっても業務範囲に属すると考えら れています。

2、発明当時に、使用者と雇用関係にあったこと

発明がなされた時点で雇用関係があればよく、特許出願が退職後になされた場合であって も、その発明の内容が、雇用関係にある時点で、既に完成していた場合には、職務発明となります。

3、発明が、発明者である従業員の職務を遂行する際になされた方のであること

従業員の職務とは、過去の職務も含まれ、また従業員の役職や 責任範囲などを考慮して決定されます。

◆雇用契約などによる職務発明の取扱い◆
 さらに、特許法では職務発明について、使用者が従業員より特許を受ける権利を譲渡したり、職務発明が特許として登録された場合に、使用者に専用実施権を付与することをあらかじめ就業規則や雇用契約によって、包括的に規定することを認めています。もちろん、このような規定は、職務発明に関する限りにおいて有効であり、たとえ従業員がなした発明であっても、上記の職務発明の要件を満たさない発明についてまで、事前に使用者に譲渡することを約束させるような契約を結ぶことはできません。また、使用者が職務発明について、発明を受ける権利の譲渡や専用実施権の設定を受ける場合には、従業員にその対価として、相当の補償金を支払う必要があります。補償金の算定方法については、明確な基準がありませんが、発明の完成に対する従業員の貢献度や発明に基づいて得られた特許の有用性などを考慮して支払われるのが通常です。また、支払の時期も発明の出願時に支払われる場合、特許として登録された場合に支払われる場合、その発明を使用者が実施した場合に支払われる場合など、さまざまな支払方法があるようですがこれらの支払方法についても、就業規則などで規定されているのが通常のようです。

◆職務発明の取扱いについて、契約があるか◆
 ご質問の場合、発明者は既に退職したとのことですが、発明は在職中になされており、発明の内容は貴社の業務に関するものであり、かつ発明者の職務に関してなされたものであると推測されますので、職務発明に該当すると思われます。つぎに、貴社の就業規則等で、職務発明をどのように取り扱うと規定されているかということになりますが、就業規則等で特に定めがないのであれば、職務発明であっても、退職者は、自己の名義で出願を行うことができます。もちろん、貴社は、これが登録された場合に、通常実施権を有することができます。一方、就業規則等で貴社が特許を受ける権利を従業員から承継することが規定されているのであれば、貴社は、この発明について特許出願をする権利があります。したがって、貴社は、退職者に対して出願人の名義を貴社に変更するよう求めることができるでしょう。もちろんこの場合、使用者は、退職者に対して権利の承継に見合う対価を支払う必要があります。

◆特許を受ける権利の放棄がなかったか◆
 しかし、ご質問の場合貴社は、職務発明を不採用にしたという経緯があるということであり、これが単に事業として実施することを見送ったというのではなく、その発明について出願すること自体を放棄したことを意味するのであれば、従業員は、自己の名義で特許の出願を行うことができます。したがって、貴社は、今になって従業員の出願に対して、特許を受ける権利が貴社にあることを主張することはできません。もちろん、この発明は職務発明ですから、従業員の出願が特許として登録された場合には、貴社は、通常実施権を有することができます。

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◆他社のデザインを参考に商品を開発したら、意匠権侵害になるのか◆
同業他社が販売しているドーナツ型の赤ちゃん枕を参考に、これに耳目をつけて、熊の顔の形の枕作りたいと考えています。これを売り出して意匠権侵害のクレームをつけられる恐れはないでしょうか?

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◆不正競争防止法◆
 製品デザインは、意匠登録を受けていれば、意匠法によって保護されます。しかし、意匠登録を受けるまでには、出願から早くて2、3年はかかるため、商品ライフサイクルの短いものについては、意匠登録を受けたころには既にその意味がなくなっていることがあります。そこで、平成5年の不正競争防止法の改正により、発売された日から3年を経過していない商品については、その形態を模倣した商品を販売するなどすることが禁じられました。従来、製品デザインは、意匠登録を受けているか、周知性がない限りは保護されていなかったのですが、先行者にとっては、商品化するためには資金や労力の投下が必要であるにもかかわらず、模倣者は商品化のためのコストやリスクを大幅に軽減することができるため、先行者の市場先行のメリットが減少し、模倣者と先行老との間で競争上著しい不公正が生じることからこのような規制がもうけられたのです。

◆意匠権侵害のクレームのおそれ◆
 同業他社が、ドーナツ型赤ちゃん枕について既に意匠登録を受けていれば、貴社がそれに類似したデザインの商品を作った場合、販売差止めや損害賠償請求といったクレームをつけられるおそれがあります。同業他社が意匠登録を受けていれば、通常その商品や広告にその旨表示されています。ところで、貴社の商品が同業他社の登録意匠に類似しているか杏かについては、判断が難しい場合が多々あります。すなわち、似ているようでも、従来から存在するデザイン部分を捨象すれば似ていなかったりすることがあります。類似の有無を判断する場合、比較の対象(要部)によって、結論が違うことがあるのです。

◆不正競争防止法に基づくクレームのおそれ◆
 意匠登録を受けていない場合でも、平成5年の不正競争防止法の改正により、発売された日から3年未満の商品については、その形態を模倣した商品を販売するなどすると、販売差止めや損害賠償請求といったクレームの対象となります。
 ここで「模倣」とは、意図的に商品形態を盗用して、これと客観的に同一または実質的に同一なものを作り出すこと、すなわち、いわゆるデッドコピーをいいます。単に似ているといった程度では「模倣」には当たりませんが、「模倣」に当たるかどうかの判断は商品分野によって異なります。なお、発売日から3年を経過した場合であっても、枕のデザインが同業他社の商品表示として広く認識されている場合には、不正競争防止法で保護され、これと類似した商品を販売するなどすると、やはり販売差止めや損害賠償請求といったクレームの対象となります。もっとも、同種の商品が通常有する形態の模倣は、不正競争防止法では保護されません。すなわち、同種の商品問でその商品に何の個性も与えないような形態については、その形態をまねてもクレームをつけられるおそれはありません。また、同種の商品が機能上当然必要とする形態についても、不正競争防止法では保護されないと考えられますが、この点について判例上は流動的です。

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◆社員提案によるデザインを商品化するときの対価の支いは?◆
社内で提案を募って、選考されたデザインを商品化することになりました。提案の採用が決定した社員から、報奨金はもらえないのでしょうかという話がでましたが、そのあたりの扱いはどのようにすればよいのでしょうか?

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◆職務創作 ◆
 従業員たる社員が創作した意匠について、一定の要件を満たせは、従業者が意匠権者として登録されていても使用者はその意匠を実施し、商品化することができます。このとき、使用者は従業者に対価を支払う必要はありません。これはいわゆる法廷の通常実施件のひとつです。

その趣旨は、創作者である従業者の利益と給料を払い、研究に必要な資材・機械設備を提供し、補助員等の費用も負担している使用者の利益との調整を図ることにあります。したがって、この場合にも、あくまでも意匠権者は従業者であり、会社には実施権という限度で利益が与えられているにすぎません。
 ここにいう従業者とは、社員・従業員の他、常勤・非常勤を問わず、顧問、嘱託、パート等も含まれ、判例上法人の役員も含まれます。

◆意匠権者◆
 なお、意匠権者とは、意匠の登録を受けたことにより、その意匠を使用した物品について業として製造、使用、譲渡等をすることができる独占的・排他的権利を有する者をいいます。もっとも、意匠権者以外の者も、権利者の許諾ないし法律上、その意匠を使用・実施することができます。このうち法律上認められる権利を法定の通常実施権といいます。ただ、この権利はその意匠を使用・実施する権利を独占する権利(専用実施権)までは含みません。

◆職務創作として通常実施権が認められる場合◆
 次の要件を満たせば、使用者に通常実施権が認められます。

1、創作された意匠がその性質上使用者の業務の範囲に属すること
 例えば、食器メーカーの従業者が靴の意匠を創作しても、使用者の業務の範囲には含まれませんが、コーヒーカップの意匠であれば、業務の範囲に含まれるという ことになります。

2、この意匠の創作が従業者の現在または過去の職務の範囲に属すること
 過去の職務まで含まれているのは、従業者においては、企業内で所属部署の異動があることが常態であり、職務を現在のものに限定したのでは使用者に対する実施権の付与として不十分だからです。ただ、使用者と従業者という身分関係を現に有する者の利益調整という職務創作の制度趣旨からは、退職した従業者の職務はここにいう過去の職務には含まれません。「職務」については、特に会社から創作を命じられたり、課題を与えられている場合に限らず、創作にいたった思索が使用者との関係で従業者の義務とされる行為の中に予定され、期待されている場合をも含みます。したがって、特にデザインを主に担当している必要はないわけです。

◆職務創作への対価◆
 職務創作については、使用者は契約・就業規則その他で定めておくことにより、従業着から意匠登録を受ける権利や意匠権の譲渡を受けたり、専用実施権の設定を受けたりすることができますが、この場合は相当の対価を支払う必要があります。

◆応募条件により決定◆
 ご質問の場合には、社内で提案を募ったデザインということですので、貴社から応募の条件が提示され、社員はそれに応じて応募しているものと思われます。このような場合、貴社と社員との間で一種の契約が成立していると考えられますので、意匠登録を受ける権利や意匠権の帰属、貴社の意匠実施条件、そして対価などについてもその応募の条件によって定まります。もっとも、ご質問の場合は、対価については条件に定められていなかったようです。このような場合、職務創作の意義や、デザインを社内で募った趣旨などから個別に考えていかざるを得ないものと思われます。

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『関連意匠登録しようと思っていたものが市販品と似ていたら?』
 
斬新なデザインの電話機が完成し、意匠登録を出願しました。引き続き、このデザインを完成させる過程で考えた、類似したデザインについても登録しようと思っています。市販品に似たものもあるのですが、登録できるでしょうか?

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  【ポイント】 

 ◆関連意匠◆
 関連意匠とは、意匠権者が自分の登録しようとする意匠に類似している意匠について登録を受けることができるものです。意匠権の効力の及ぶ範囲は、登録意匠とこれに類似する意匠ですが、意匠登録出願の願書に添付されている図面、写真によって類似の範囲を想定することとなるため、意匠の類似の判断は極めて難しいものです。そこで、意匠法では、関連意匠の規定が設けられました。すなわち、意匠権の保護の範囲を本意匠に類似する意匠にまで拡張することを制度化することよって、意匠権の保護を強化しているのです。

 ◆法改正◆
 関連意匠制度は、平成10年5月6日に公布された特許法等の一部を改正する法律により、類似意匠制度が廃止されて導入されたものです。改正の要点は次のとおりです。

1、出願について、従前類似意匠では、本意匠の出願後であれば出願が可能でしたが、関連意匠では、本意匠の出願と両日になすことが必要となりました(意匠法10条)。

2、意匠権の存続期間について、類似意匠では、明文規定はなく、本意匠の存続期間に従うとされていましたが、関連意匠では、明文規定で本意匠の設定登録の日から15年と定められました(意匠法21条2項)。

3、本意匠と関連意匠との関係について、類似意匠では、類似意匠の登録をすると、類似意匠の意匠権は、本意匠の意匠権と合体(旧意匠法22条)し、合体の結果、本意匠権が消滅・移転すれば類似意匠権も消滅し、本意匠権に設定された実施権等の効力は当然に類似意匠権にも及ぶとされていました。関連意匠では、この点についても改正が有りましたが、これについては後述します。

 【解決策】

◆関連意匠の登録要件◆
 関連意匠の登録要件としては、以下のも甲が挙げられます。

1、本意匠の存在
 関連意匠の登録には、その元になる本意匠の存在することが必要であり、さらに、本意匠登録の出願と同日に出願することが必要です。

2、本意匠にのみ類似すること
 自己の本意匠に類似していることが必要であるのは当然ですが、関連意匠出願前にすでに登録されている他者の意匠や、すでに他者が出願中の意匠にも類似している場合には、登録をすることはできません。また、たとえ他者がまだ意匠登録していなかったり、登録出願中でなくても、他者のものとして関連意匠出願前にすでに一般によく知られている意匠については関連意匠の登録はできません。

3、関連意匠にのみ類似する意匠ではないこと
 関連意匠に類似していても、本意匠に類似していない意匠については登録することはできません(意匠法10条2項)。なぜなら、関連意匠にのみ類似する意匠の登録を許せば、最終的には本意匠に全く類似しない意匠の登録までも許すことになりかねず、関連意匠の保護の範囲が無限に拡大するおそれがあるからです。

4、主体の同一性
 本意匠と関連意匠の出願の主体は同一でなければなりません(意匠法10条)。

◆関連意匠の効力◆
 関連意匠の登録をすると、関連意匠の意匠権は、関連意匠はもとより、関連意匠に類似する意匠にも及ぶものと考えられます(後述の判例参照)。

◆本意匠と関連意匠、及び関連意匠相互間の関係◆

1、意匠権の移転について
 本意匠及び関連意匠は、分離して移転することができません(意匠法22条1項)。また、本意匠について登録料の未納付による消滅、無効審決の確定又は放棄がなされた時は、関連意匠はそれに伴って消滅等することはありませんが、複数の関連意匠の意匠権を分離して移転することはできません(意匠法22条2項)。

2、専用実施権の設定について
 本意匠・関連意匠の意匠権の専用実施権は、本意匠及びすべての関連意匠の意匠権について、同一人に同時に設定する場合に限り設定することができます(意匠法27条1項但書)。但し、本意匠について登録料の未納一付による消滅、無効審決の確定又は放棄がなされた時は、複数の関連意匠の意匠権についての専用実施権は、すべての関連意匠の意匠権について、同一人に同時に設定する場合に限り設定することができます(意匠法27条3項)。

◆ご質問の場合◆
 ご質問の場合、本来の電話機の意匠登録の出願をなさったところということですので、すでに本意匠の出願は終了したことと思われます。関連意匠の出願は、本意匠の出願と同日になす必要がありますので、もはや出願・登録はできないこととなります。また、市販晶の電話機のデザインに類似したものは、すでに一般によく知られているデザインといえる場合が多々あると思われますので、その場合は、それが意匠登録されていなくても、その関連意匠の登録はできないこととなると思われます。

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◆過労死の疑いがあるときは?
社は少数精鋭をモットーに業務を行い、繁忙期には休日出勤や深夜まで仕事を続けることもよくあります。先日、社員Bが、心筋梗塞で業務中に突然倒れ、1か月後に死亡しました。Bの遺族からは、「これは過労死だ、責任を取ってくれ」といわれています。どのような対処をしたらよいでしょうか? 

  
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 【ポイント】

◆厚生労働省の認定基準◆
 心筋梗塞で死亡した場合に、それが業務上災害に敏当するかどうかを労働基準監督者で判断する場合(行政解釈)の基準(平成13年に改正されました。)となる厚生労働省労働基準局長の通達は概略として次のとおりとなっています。

 脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について(平13・12・12基発第1063号)

 この認定基準は、脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症の脳血管疾患や心筋梗塞、狭心症、心停止、解離性大動脈癌の虚血性疾患について定めたものです。これによると、これらの病気を発症した場合に業務上の疾病として労災保険の給付を得るには、次の基準を満たす必要があります。

 (1)次のAないしCの業務による明らかな過重負荷を発症前に受けたこと

A 発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的および場所的に明確にし得る異常なできごとに遭遇したこと

B 発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと

C 発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと

 (2)過重負荷を受けてから症状の出現までの時間的経過が医学上妥なものであること

 認定基準でいう(1)Aの「異常なできごと」とは、次のことです。

1、極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起す突発的または予測困難な異常な事態

2、緊急に強度の身体的負荷を強いられる突発的または予測困難な異常な事態

3、急激で著しい作業環境の変化

 同基準(1)Bの「特に過重な業務」短期間のもの)とは、日常業務に、比較して特に過重な身体的精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいいます。また、業務による過重負荷と発症との時間的関連については、発症した直前1週間以内の業務が過重かどうかに重点を置いて判断することになっています。同基準(1)Cの「特に過重な業務」(長期間のもの)も(1)Bと同じ業務ですが、過重負荷と発症との時間的関連については、発症前おおむね6か月以内の業挙が過重かどうかを判断することになります。この厚生労働省の認定基準は、従前の基準に対してさまざまな批判があることをうけて検討され改正されたものです。しかし、裁判になった場合には、裁判所はこれに拘束されるものではありませんので、これとは異なった判断がされる場合もあります。従来も、旧基準とは異なった判決が出されたことがあります。

◆会社の兼任◆
 業務上の災害となった場合には、労災保険による補償がなされますが、さらに会社が安全配慮義務違反として損害賠僕責任を負う場合があります。例えば、会社が過重な業務命令を行った場合や従業員が高血圧症であるなどの状況を知りながら生活指導上の配慮をしなかった場合など、会社に過失があると判断される場合です。これらの場合は、労災保険で給付された範囲を超えて会社が損害賠僕義務を負います(慰謝料や賃金など)。ただし、本人にも過失がある場合には過失相殺が認められます。

◆業務上か業務外かによる相違◆
 業務上の傷病は労災保険で扱われ、業務外の傷病は健康保険で扱われますが、それらの他に会社にとっては大きな違いがあります。業務上の場合には、次のことがいえます。

1、療養期間中は解雇できない

2、平均賃金の計算の結果が高くなる

3、休業保障、障害保障、遺族補償などが支給される

4、使用者の労災保険料が高くなる場合がある

 その他に特に過労死であると認定された場合には、会社の民事責任のほか事業場の労務管理上精神的にも大きな影響を与えることになるので慎重な判断が求められます。

◆業績の状況、健康状態を調査する◆
 「特に過重な業務」はなかったかどうかについて発症前1週間以内の状況(短期間のもの)、発症前6か月以内の状況(長期間のもの)を重点に調査し認定基準に該当するかどうかを判断します。また、本人の健康診断の結果等から持病はなかったかどうか、もし何らかの病気があった場合には業務が適切であったかどうかなどを判断し、業務上でないと判断される場合には、遺族に対して詳しく説明をして理解を求める必要があります。

◆必要な場合は異議申立てを行う◆
 通族が会社の判断にかかわりなく労災保険の申請手続をした場合(遺族補償給付請求書と葬祭料請求書を労働基準監督署長に提出した場合)には、過労死と認められたならば会社の責任が生じたり職場に与える影響も大きいので、会社は事業主としての意見を書面により労働基準監督署に提出することができます。これによって労働基準監督署長の判断を拘束するものではありませんが、判断の参考資料として活用されます。

◆遺族が会社の責任を追及してきた場合◆
 遺族が過労死であるとして会社の責任を追及してきた場合、「過労死が出るはど従業員を働かせている」というイメージが広がることは会社にとって大きなマイナスですが、さらに「遺族は過労死を主張しており、それが起こる状況でもあったのに会社が認めようとしない」というイメージが広がることも大きなマイナスです。会社としては過労死といわれないように労働条件に配慮するとともに、遺族に対しても細心の注意をして対応する必要があります。

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◆取得した情報が不正に入手されたものだったら?
当社は出版社ですが、企画会社から持ち込まれた企画を採用し、出版計画を進めていたところ、A社から出版を差し止めるようクレームをつけられました。その企画は企画会社がA社から不正に入手したものとのことですが、当社の立場はどうなるのでしょうか。
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◆不正取得行為◆
 不正競争防止法2条1項4号は、窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為または不正取得行為により取得した営業秘密を使用しもしくは開示する行為を不正競争行為と位置付けています。具体的には、営業秘密そのものである有体物(新製品や触媒等)や営業秘密が化体されている有体物(顧客名簿や図面、設計図等)を窃取したり、詐欺、強迫により取得する行為や、営業秘密が保管されている場所に無断で侵入し、営業秘密の保管してある机・金庫、 フロッピーディスク等を無断で開けたり、使用して収められている営業秘密を閲覧、コピー、記憶する等の行為、さらには詐欺、強迫盗聴・電波傍受等の手段により、営業秘密の保有者から営業秘密を聞き出す行為等が不正取得行為の典型と考えられます。このようなスパイ的な情報の入手に対しては、営業秘密の存在形態およびその入手態様に応じて、刑法の財産犯規定(窃盗、業務上横領、背任、臓物)が適用される可能性も高いといえます。(営業秘密を他社に漏洩した場合の刑事上の責任については「社員が顧客情報を他社に漏洩したら?」参照。)。

◆悪意重過失取得者の行為◆
 さらに、同項5号により、上述の不正取得行為が存在したことについて、知っているか(悪意)または重過失にょり知らずして、営業秘密を取得する行為またはその取得した営業秘密を使用、開示する行為も不正競争行為とされます。また、不正の競業その他の不正の利益を図る目的で、あるいは保有者に損害を与える目的で営業秘密を使用・開示する行為や法的な守
秘義務に反する開示があったことについて、悪意または重過失で営業秘密を取得する行為またはその取得した営業秘面を使用、開示する行為も不正競争防止法は不正競争行為としています。そして、不正競争防止法2条1項5号、8号に該当する行為によって営業秘密を取得した者には、直接の開示によって取得した者だけでなく、転々流通してきた営業秘密を取得した老も含まれると解されています。不正取得されたものであることに気付きつつも、プロ−カー等からライバル会社の営業秘密を取得する行為は悪意重過失の取得に該当しますが、その途中にたとえ善意無過失で秘密を取得した者が介在していたとしても私法上の法理とは異なり、不正競争防止法上は営業秘密の保有者や管理者の営業秘密に対する梅原は失われないのです。それゆえに、その後に営業秘密を取得した者が悪意重過失者であれば、その取得行為、取得後の使用・開示行為は不正競争行為となるのです。

◆事後的悪意重過失者の行為◆
 さらに、同法2条1項6号、9号は、営業秘密取得後に、その営業秘密に不正取得や不正開示行為があったことに悪意または重過失となった者が、営業秘密を使用し、開示する行為をも不正競争行為と位置付けています。


◆取引による善意取得者の利用行為◆
  しかし、善意無重過失で取引により営業秘密を取得してしまった場合で、事後的に悪意となった場合の使用行為までを不正鹿争行為として差止めの対象にしてしまうと、取引の安全が害されることがあります。それゆえに、不正競争防止法はその12条1項6号において、営業秘密を取引により取得した者が、その取得の際に当該営業秘密に係わる不正行為の存在に関して善意無重過失であった場合には例外的に、「その取引によって取得した権限の範囲内」においてその営業秘密を使用することを認めています。

◆悪意重過失取得の場合◆
 ご質問のケースにおいては、企画会社から持ち込まれた企画を貴社がどのような状況で買い受けたかが重要な点であると思われます。企画会社が不正取得によって得たと思われる営業秘密を使って貴社が出版計画を進めているのであれば、既に述べたように、貴社自身は直接には産業スパイ的な行為をしていなくとも、不正取得を知りながら、当該営業秘密を使用したとして、その企画の使用差止めはもちろんのこと、損害賠償請求や出版企画、出版物の廃棄等の請求をされる可能性があります。

◆取得時に善意無重過失であった場合◆
 しかしながら、貴社が企画会社から持ち込まれた企画を買い取る際それらの企画がA社から不正に取得されたものであることについて、善意無重過失であったのなら、その企画を買い取った際に決められた範囲内で当該企画を行うことが可能となる場合があります。


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◆退職後ライバル会社への再就職を禁止したら?

当社では、企業秘密の漏洩を防止するために、社員との間で雇用契約中に会社の情報を公に発表したり使用してはならない旨の契約をしています。こうした契約に加え、退職後、ライバル会社に再就職することを禁止することができるでしょうか?
     
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◆秘密保持契約◆
 技術ノウハウや営業上の秘密の外部へ漏洩を防ぐため、企業が従業員との雇用契約中に機密保持条項を入れたり、また、別に秘密保持契約を結ぶことにより営業秘密の漏洩防止策を講じている場合がみられます。これら従業員との間に結ばれる秘密保持契約においては、雇用契約期間中および雇用関係終了後の一定期間に会社の保有する技術ノウハウ等の秘密情報を公開したり、第三者に開示したり、あるいは自ら使用してはならない等が通常規定されています。

◆競業避止義務◆
 また、この秘密保持義務のほかに、退職した従業員がライバル会社の従業員になったり、請負や委任の形をとって従来と同様の役務を提供したり、自らが競業関係に立つような業務に従事することを禁止する競業避止義務を課する会社もあります。元の会社との間で退職後の従業員に競業避止義務が課せられている場合には、義務に違反した元従業員に対しては契約上の債務の履行として競業行為の差止めや債務不履行責任の問題として損害賠償請求が可能です。

◆職業選択の自由と競業避止契約◆
 しかし、従業員の退職後に競業避止義務を課する場合には、その従業員の転職の自由に対する過度の制約にならないよう配慮する必要があります。競業避止契約を有効とするためには、ノウハウの流出防止や顧客保持の必要性等の競業避止契約によって守られるべき正当な利益があることや、その目的との関係で競業を禁止する期間、場所等の制限が合理的な範囲であることが必要です。また、従業員の転職の自由を犠牲とする代償としての対価が十分に払われているか、という点も斜酌する必要性があるでしょう。

◆「合理的範囲」における退職後雇用契約終了後の元従業員に対しての競業避止契約は有効◆      
 秘密保持義務やノウハウの使用禁止に企業秘密の漏洩を防止するために、雇用契約終了後の元従業員に対して、秘密保持義務やノウハウの使用禁止に止まらず、競業避止義務をも課す契約を締結することは可能です。
 しかし、退職後の競業を禁止することは、日本国憲法22条1項で保証されている業選択の自由」や「営業の自由」制限することにもなりかねません。退職後の競業避止契約が行き過ぎると「公序良俗」違反として契約が無効になる可能性もでてきます。判例では、退職後の競業制限は「合理的範囲」であれば有効とされ、合理的範囲かどうかの具体的な判断は?禁止期間、?場所的範囲、?対象職種、?代償の有無等について、企業秘密の保護と従業員の転職、再就職の自由のバランスを考慮して総合的に検討されているようです。
 具体的期間ですが、短期間であればあるほど、法的には有効となる可能性が高い反面、競業制限の意味が薄れてしまいますので、結局は、業種ごとに対象となる情報が営業秘密としての価値を喪失すると予想される期間や代償との兼ね合いで考えなければならないようです。


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◆正社員が顧客情報を他社に漏洩したら?独自に作成したマニュアルが他社で使用されていたら?

 当社の営業員が、友人に頼まれて、当社の顧客情報を無断でコピーして渡してしまい、これが同業他社に売却されたことがわかりました。当社は、この漏洩事件の関係者に対して、どのような措置をとることができるでしょうか。
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◆営業秘密としての顧客情報◆
 顧客情報も不正競争防止法上の3つの要件(?秘密管理性、?有用性、?非公知性)を満たす場合、すなわち、社員のうちその顧客情報を見ることができる者が制限されている場合や、社員に対して顧客情報について守秘義務を課している等の場合で、顧客の趣味、嗜好、資産状況等、公開された情報からは入手しがたい情報に的を絞った、事業活動上有用な情報であれば、営業秘密と考えることができます。
 
◆営業秘密漏洩に関する刑事上の責任◆
 では次に、営業秘密に関する刑事上の規定を考えましょう。現在日本には営業秘密それ自体を保護する刑事上の規定は存在していません。しかし、現在までは刑法における財産犯規定(窃盗、業務上横領、背任、臓物)および共犯規定の適用によって保護が図られてきたといえます。
 例えば、営業秘密を記録した媒体を部外者が不正に持ち出した場合には窃盗罪が成立するとされてきましたが、そこでは紙やフロッピーディスクという媒体自体の価値を超えた営業秘密自体の価値が財産的損害として窃盗罪の法益侵害の中に含まれていると考えられています。すなわち、営業秘密を他の秘密情報と区別する属性であるその財産的価値を根拠としてその侵害を捉え、財産犯の成立が認められてきました。従業員が営業秘密を他社に売却した場合に認められる刑事上の責
任としては以下のような類型化が可能です。

? 従業員が占有、保管している書類や図面を持ち出した場合業務上占有する他人の物を横領したことになり、業務上横領罪が成立し、懲役10年以下の刑に処せられます。
            
?A 従業員が占有、保管していない書類や図面を持ち出した場合他人の財物を窃取したことになり、窃盗罪が成立し、懲役10年以下の刑に処せられます。
 
?B 有体物の持出しを伴わない営業秘密のみを持ち出した場合秘密保管義務のある者が持ち出した場合には、自己もしくは第三者の利益を図りまたは会社に損害を加える目的でその任務に違背する行為をして会社に財産的損害を負わせたことになり、背任罪が成立し懲役5年以下または50万円以下の罰金刑に処せられます。企業秘密の保管者以外が行った場合には、背任罪には当たりませんが、民事上の損害賠償や、就業規則等による懲成処分の対象となることがあります。

◆刑事上および民事上の責任を問う◆
 ご質問のケースでは、貴社は事件の関係者に対し、刑事上および民事上の責任を問うことができるでしょう。

◆刑事上の責任◆
 既に述べたように、貴社の営業員が顧客情報を自ら保管していたのであれば業務上横領罪が、他の部署において保管されていたものを勝手に持ち出したのであれば窃盗罪が成立する可能性があります。一方、営業員に持出しを依頼した友人の刑事責任は、営業員の責任に応じて、窃盗、業務上横領もしくは背任の教唆が成立するでしょう。
 そして、その顧客情報を買い受けた同業他社が、当該顧客情報が貴社の営業秘密であって、貴社の営業負およびその友人が違法に持ち出した情報であるということを知りながら買った場合には、臓物故買罪が成立するでしょう。

◆民事上の責任◆
 当該顧客情報が不正競争防止法上の営業秘密に該当するのであれば、貴社は同法に基づいて、その営業員に対しては、その顧客情報の第三者(依頼した友人以外)への開示差止めや損害賠償を請求、さらには雇用契約上の責任を追及することが可能です。また持出しを依頼した友人に対しても、その情報の使用や第三者への開示差止め、損害賠僕請求が可能です。そして、顧客情報を買い受けた他社に対しては、同社がその情報が営業秘療であって、違法に入手されたものであるということを知っていたかもしくは少し注意すれば知り得たはずであった場合には、同様にその使用差止め、損害賠償請求が可能となります。同業他社故に、当該情報の重要性を知り得る立場にあり、また、顧客情報が貴社の用紙に記載されたものをコピーしたまま買ったというのであれば、同社の重過失の推定は容易でしょう。ただし、顧客情報に手が加えられる等して売り込まれていた場合には、同社の重過失の認定は難しいかもしれません。


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自の仕様で発注していた製品と同一品を下請け会社がかってに製造販売していたら?

当社の下請会社として、当社独自の仕様で製品を製造させていた会社があります。現在、取引関係はないのですが、この会社が当社のかつての発注品と同じものを勝手に製造販売していることがわかりました。この行為に対して何らかの措置をとることができるでしょうか。
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 ◆正当取得者の不正利用行為◆
 不正競争防止法2条1項4号は、営業秘密の不正取得行為や不正に取得した営業秘密を使用したり、開示したりする行為を不正競争行為と位置づけていますが、2条1項7号は、営業秘密の保有者から営業秘密を正当に取得した者が、その営業秘密を不正の競業その他の不正の利用を得る目的で、あるいは保有者に損筆を加える目的で使用し、開示する行為を不正競争行為と規定しています。企業から営業秘密を開示された従業員等が、ライバル企業にその営業秘密を開示してしまう行為や、企業からライセンス契約により製品の製法についての営業秘密を開示されて製品を製造するライセンシーが、その営業秘密を他社に開示してしまうような行為等がこれに該当します。

 ◆契約上の義務違反を理由に損害◆
 賠償請求をした方が有利な場合もちろん、営業秘密を開示する場合には、相手との間に守秘義務や一定の範囲を超えて営業秘密を使用してはならない等の取決めをなすことも多いでしょう。そのような約定が存する場合には、不正競争防止法によらずしても、契約上の義務の履行として使用の差止めを請求したり、債務不履行として損害賠償請求を行うことができます。不正競争防止法では、営業秘密の使用行為に対する差止請 権が時効または除斥期間の経過により消滅したときは、その後の使用行為から生じた損害軒こついては損害賠償請求をすることができないと定められていますので、相手との間の法律上や契約上の義務違反を理由とする損害賠僕請求が可能な場合には、不正競争防止法によらず、むしろそちらに基づく請求を行う方が有利な場合があるといえます。

 ◆正当取得者の不正利用行為◆
 ご質問のケースの場合、元の下請は貴社の営業秘密を取得するに当たって、貴社との下請関係において、営業秘密を取得したのですから、不正な取得行為を行ったのではありません。ただ、貴社との取引関係が終わ
 った後に、貴社から取得した営業秘密を使用して、勝手に製造販売していることが問題となるのです。
 下請契約においても、営業秘密の保護に関する取決めがなされることが増えてきてはいます。仮にそのような約定がなかった場合であっても、不正競争防止法は、その2条1項7号において、営業秘密を保有者から開示された者が、不正な農業その他の不正な利益を得る目的で、またはその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用したり、開示する行為を親制していますので、下請会社やかつて下請契約やライセンス契約を締結していた会社、従業員および既に退職した元従業員が取得した営業秘密を勝手に自己のために使用する行為は、不正な農業や営業秘密を保有している会社に損害を与える目的を有する不正競争行為として、差止めや損害賠償請求の対象となる可能性があります。

 ◆混同惹起行為◆
 また、不正競争防止法2条1項1号は、他人の商品表示として、需要者の間に広く認識されているものと同一もしくは類似の商品等表示を使用し、またはその商品等表示を使用した商品を販売して他人の商品または営業と混同を生じさせる行為も不正競争行為としています。商品等表示とは、商品の出所または営業の主体を示す表示を指し、具体的には人の業務に係わる氏名、商号、商標等がこれに当たります。商品の形態は、本来は商品の出所を表示するものではありませんが、商品の容器・包装等と同様に商品の出所を示すものであると認めた判例もありますので、取引関係終了後も貴社の発注品と同一のものを製造している会社の行為から、その会社が依然として貴社の商品を製造しているかのような混同が生じるのであれば、その行為は不正競争行為に該当するといえるでしょう。

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◆独自に作成したマニュアルが他社で使用されていたら?
 

当社では、独自の接客マニュアルを作成し、社員全員に配付して統制を図っています。ところが、ライバル社が当社のマニュアルをそのまま使っていることがわかりました。当社としてはどのように対処すればよいのでしょうか。
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◆営業マニュアルは営業秘密なのか◆
  営業マニュアルが不正競争防止法2条4項にある3つの要件、すなわち、
?@秘密として管理されているもの
?A事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること
?B公然と知られていないこと、に該当する
 ものである場合には、営業秘密に当たりますので、これを窃盗、詐欺、強迫等によって不正に取得したり、保管されている場所に無断で侵入し、閲覧、コピー等をした者に対してはその使用や開示の差止めを請求することができることは言うでもありません。しかし通常、営業マニュアルは多数の営業担当者に配付されるものであるという性質上、どこまで秘密管理性があるのかということが問題となってくるでしょう。営業マニュアルにアクセスできる従業員についてだけでなく、保管場所についても特定がなされていない場合には秘密管理性を有しているとは言いがたいと思われます。また、営業マニュアルといっても、その営業に従事している者が営業活動上、自然に身につけるような事項や同業他社にとっても入手可能な情報に基づいて作成されているようなものは営業秘密には該当しないと考えられます。

 ◆営業マニュアルの著作物性◆
 しかし、営業マニュアルが不正競争防止法の営業秘密に該当するかどうかとは別に、マニュアル自身が言語による著作であるという点からは、著作権法による保護も可能でしょう。もちろん営業マニュアルが著作権法のいう「思想又は感情を創作的に表現したもの」といえるのかには問題がでてくるでしょう。しかし、ゲートボールの競技規則書の競技規則を表現した部分について、「新たに創作されたスポーツ競技に閑し、その競技の仕方のうち、どの部分をいかなる形式、表現で競技規則として抽出、措定するかは著作者の思想を抜きにしてはおよそ考えられないことであり、…それは文化的所産というに足る創作性を備えているのであるから、その著作物性自体を否定し去ることはできない」と示した判例があることからは、営業マニュアルの場合も、新たに創作されたマニュアルについて、その営業指針、対応のうち、どの部分をいかなる形式、表現で営業マニュアルとして抽出、措定するかという点に創作性を認めると、著作物と考えられるでしょう。

 ◆秘密管理性における問題◆
 ご質問のケースでは、貴社が独自に作成した接客マニュアルであっても、社員全員に配付している点から、秘密管理性に問題がありますので、当該マニュアルが営業秘密であるとは言い難いと思われます。それゆえに、ライバル会社がそのまま使用していたとしても、不正競争防止法による差止め請求や損害賠償請求はできないでしょう。
 
 ◆著作権法のよる保護対象◆
 それでは、次に著作権法との関係を考えてみましょう。貴社の接客マニュアルが創作的に表現されているものである場合には、著作権法によって保護される可能性があります。しかし、著作権の保護対象は表現であり、特許権とは異なり、アイデアや理論等の思想感情自体にまで及ぶものではありません。ですから、単に他社のマニュアルに書かれている内容が貴社のマニュアルと同じというだけでは、著作権法による保護の対象とはならないのです。
 
 ◆著作権侵害の場合◆
 しかし、貴社マニュアルそのままを使用しているというのであれば、著作権侵害の問題が出てきます。「著作権侵害とは既存の著作物に依拠し、これと同一性あるいは類似性のある作品を著作権者に無断で複製することによって生ずるもので仮に第三者が当該著作物と同一性のあるものを作成したとしても、その著作物の存在を知らず、これに依拠することなしに作成したとするならば、知らないことに過失があったとしても著作権侵害とはならない」、すなわち、著作権の場合、結果が同じであっても、他人の作品を模倣していなければ侵害とはなりません。しかし、模倣という心理状態を立証することは不可能に近いため、現実には他人の作品に依拠しているかと類似しているかという点から模倣を立証しています。ご質問のケースでは、貴社のマニュアルに依拠することなしに、ライバル会社がマニュアルを作成することが可能かどうかが問題になってきますが、貴社のマニュアルをそのまま流用しているというのであるなら、類似性を検討するまでもなく、依拠したことが推認できると考えてよいでしょう。そうなると、貴社の接客マニュアルの著作権侵害の可能性が極めて高いといえましょう。著作権侵害の場合の民事上の救済としては、著作者、・著作権者、出版権者、著作隣接権者が各自有する権利を侵害する者または侵害するおそれがある者に対して、その侵害の停止または予防を請求する権利である差止め請求権や民法の一般原則によって不法行為上の損害賠償請求権および不当利得返還請求権が認められています。

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◆雑誌に紹介された他者の経営ノウハウをまねたら?
経済新聞や経営者向けの雑誌には、企業の組織構成や人事管理、各種規程例などについて紹介されていることがよくあります。このように公表された経営ノウハウをまねて自社の経営に役立てることに何か問題がありますか?
 
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◆公表されていない経営ノウ八ウは営業秘密に該当する可能性がある◆
 他社の経営ノウハウがその業界にとっても独創的なアイデアで、そのアイデアにアクセスできる者が限定されていたり、部外者に情報が漏れないように十分な配慮が行われて管理されているような場合は、その経営ノウハウは他社の営業秘密に該当すると思われますので、そのような経営ノウハウを入手して、まねる等の使用行為は不正競争防止法により、差止めや損害賠償請求の対象となります。また、他社の営業秘密に該当するノウハウを他社従業員に依頼して、持ち出させる等した場合には(「社員が顧客情報を他社に漏洩したら?」参照)、その従業員の責任に応じて、依頼人にも、窃盗、業務上横領もしくは背任の教唆といづた刑事責任が追及されることがありますので、注意が必要です。

◆他社の資料を複製して利用すると著作権侵害となる◆
 しかし、他社の経営ノウハウが経済新聞、雑誌等で公表されたものであれば、不正競争防止法の定める営業秘密には該当しませんので、それをまねても不正競争防止法上の問題は生じないと考えられます。そして、経営に関するアイデアや情報そのものには、たとえ、それが独創的で、それを考え出すのに時間や労力を費やしていたとしても、特許や実用新案、意匠、商標等の工業所有権のように所有者に独占的権利が認められる制度はないのです。しかしながら、他社の経営ノウハウを記載した会社案内、社内報、営業報告書、各種マニュアルといったようなものの多くは著作物であることには変わりありませんので、著作権者の承諾を得ずしてそのまま複製して、自分の会社で社内報、マニュアルとして配付する等すれば、著作権侵害に当たる可能性もでてきます。
 著作権法では私的使用のための複製と引用の場合には、著作権の適用を制限するとしていますが、私的使用とは、個人的または家庭内、限られた人数の仲間内での使用に限って複製することを認めているという意味ですので、社内報やマニュアルを作成しようという会社規模であれば、おそらく、私的使用としての複製が許される範囲には当たらないと思われます。さらに、引用に関して、著作権法32条は「公表された著作物は引用して利用することができる。
 この場合において、その引用は公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」と規定しています。引用は無条件にできるということはなく、量的にも引用する方の著作物が主で、引用される方の著作物が従たるものセなければなりませんし、引用した著作物の出所を、その利用態様に応じて合理的と認められる方法および程度により明示する必要があるのです。それゆえに、経営ノウハウが記載された他社の会社案内、社内報、各種マニュアルといったようなものを、そのまま複製して、自社の社内報、マニュアルとして配布する等の行為は著作権侵害として、差止めおよび損害賠償請求の対象となりますので注意が必要です。

解決策

◆公表された経営ノウ八ウ◆
 ご質問のケースでは、経済新聞や経営者向けの雑誌等に公表されている他社の経営ノウハウ(組織構成方法や、人事管理、福利厚生制度や品質管理制度等の経営に関するアイデア)をまねるということですので、その経営ノウハウが、不正鹿争防止法に定められている営業秘密の3つの要件(?秘密管理性、?有用性、?非公知性)のうち、?と?を満たすとは考えられません。
 したがって、公表されている他社の経営ノウハウは営業秘密に該当しませんので、それをまねて、貴社の組織構成や人事管理、各種規程などの見直しを行ったとしても、何ら問題は生じないと思われます。

◆著作権侵害の可能性◆
 ただし、ポイントでも述べましたように、他社の経営ノウハウが記載された会社案内やマニュアル自身は著作物に該当することが多いので、まねるに際しては、そのまま複製して、貴社の社内報等に転載しないように注意する必要があるでしょう。そのまま転載すると著作権侵害に当たる可能性が出てきます。

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◆ビジネス情報誌に会社の社内事情を掲載されたら?◆

先日、あるビジネス情報誌が当社の社内事情(経営体質や財務内容)について悪辣とも思える批評記事を掲載しました。当社は名誉回復を図るため、この出版社に謝罪文の新開への掲載と、不法行為に基づく損害賠償請求をしようと考えておりますが、それは可能でしょうか?

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◆名誉棄損◆
 名誉とは、一般に人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値ついて社会から受ける客観的評価を指します。このような名誉は、自然人のみならず、法人にも存在します。そして、名誉棄損とは、他人のこのような社会的評価を低下させるに足りる具体的事実を指摘し、その指摘を不特定または多数の者が知りうる状態にすることをいいます。名誉を棄損された場合は、損害賠償の請求などを求めることができますが、名誉棄損に該当する行為が、
 ?公共の利害に関する事実にかかり、かつ
 ?その目的が専ら公益を図ることにあったと認められ、
 ?事実が真実であることの証明ないし真実と信じるについて相当な理由が
  あった場合には、行為に違法性がないとされ、このような請求は認められません。

◆損害賠償◆
 名誉棄損により精神的苦痛をこうむった場合には、損害賠償(慰謝料)の請求が認められます。

◆名誉回復のための適当な処分◆
 名誉棄損に対する救済方法として、損害賠償の請求とは別に、名誉回復のための適当な処分を求めることができます。具体的には、謝罪広告、取消広告、関係者への陳謝文の送付などがあります。謝罪広告について言えば、被害者は、その要求する文面を、被害者の指定する新聞等の指定の場所に掲載させ、加害者にその費用を負担させることができます。

◆名誉毀損にあたるか◆
 まず、貴社の経営体質や財務内容について悪辣とも言える批評記事をビジネス情報誌に掲載する行為が名誉毀損行為に該当するかどうか問題となります。この点こうした事実が摘示されることにより、貴社の社会的評価が広く低下したものと考えるのが通常と思われますので、出版社がかかる記事を雑誌に掲載する行為は、原則として名誉毀損行為にあたると考えられます。


◆違法性の有無◆
 しかし、前述のように、名誉棄損に該当する行為が、
 ?公共の利害に関する事実にかかり、かつ?その目的が専ら公益を図ることにあったと認められ、?事実が真実であることの証明ないし真実と信じるについて相当の理由があった場合には、行為に違法性がないとされ、損害賠償などの請求は認められません。
 ?そこで、まず、記事が公共の利害に関するかどうかが問題となります。この点については、貴社の規模(資本金・従業員数・支店や営業所の数・取引先の多様性など)や社会的認知度、貴社の経営状態が社会・経済的に与える影響などを検討することとなります。
 貴社が全国的規模をもつ企業であったり、社全的認知度が高かったり、また貴社の財務内容等が取引先や消費者・投資家等忙与える影響が大きい場合などには、記事は公共の利害に関するものと言えるでしょう。
 ?次に、掲載の目的が専ら公益を図ることにあるかどうかですが、事実が公共の利害に関するものであれば、かかる事実の掲載の目的も公益を図ることにあると認定される傾向にあります。
 ?最後に、真実性の有無ですが、この点が最も問題となります。記事が真実に基づくものでないとしても、取材の対象・方法・内容、さらには取材した事実を裏付けるための取材の有無といった記者・出版社の取材活動や、それに基づいた社内での検討方法なを総合考慮して、出版社側に真実であると信じるについて相当な理由があれば、行為に違法性はないことになります。

◆損害賠償・謝罪広告掲載の請求◆
  出版社の記事掲載が上記???の何れか一つにでもに当てはまらない場合には、貴社は出版社に対して損害賠償(慰謝料)を請求することができます。また、名誉を回復するに適当な処分として、謝罪文の新聞への掲載を請求することもできます。

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記入間違いの小切手を受取ったら

 得意先から1,500万円の小切手を受け取ったのですが、会社に戻りその小切手をよく見てみると、それには壱千五百円という記入もされていることに気がつきました。この小切手を銀行にもっていったら1,500万円の支払をしてくれるでしょうか。

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 ◆手形法・小切手法、当座勘定規定、手形用法・小切手用法◆
 
 手形・小切手は当事者が勝手なルールを作らないよう、法律が強行法規で、厳格なルールを規定しています。したがって、法律によって許されていること以外は、当事者同士でいくら特約をしても、その特約は無効とされています。
 また、銀行を支払場所としている手形や小切手については、当座勘定を通じてその決済がなされますが、銀行と顧客との当座勘定契約は、当座勘定規定によることになっています。
 他方、銀行は大量の手形・小切手の決済を行いますから、取扱いに間違いがあってはいけないので、顧客に対して手形・小切手の記載方法を統一して扱うよう依頼し、それ以外の記載方法のものは取り扱わないようにしています。手形・小切手の実務は、手形法・小切手法や当座勘定規定、手形用法・小切手用法の規定に従って、さらに手形の交換決済については、各地の手形交換所規則の規定に従って運用されます。

 ◆手形の金額に関する手形法・小切手法のルール◆

 ー枚の手形や小切手に、金額が二重に記載され、相互にその金額が異なっている場合は、以下のような扱いになります。
 ? 金額が文字と数字とで記載されている場合は、文字による記載が手形金額となります。
 ? 金額が文字のみまたは数字のみで記載されている場合は、その最小金額が手形金額となります。

 ご質問の場合は、1,500万円の数字と壱千五百円という文字で記載されているようですから、小切手法上は1,500円が小切手の金額となります。
 
 ◆手形用法・小切手用法上の扱い◆
 
 銀行は当座勘定契約者に対して、手形・小切手の金額の記載について、以下のように記載するよう求めており、これに反する記載のものは取り扱わないことにしています。
 すなわち、
 ?所定の金額欄に記載すること、
 ?金額を算用数字で記載するときは金額の頭には「¥」を、末尾には「※」
  などの終止符号を印字すること、その場合には文字による復記をしないこと、
 ?金額を文字で記入するときは、文字の間隔をつめ、壱、弐、参などの改ざ
  んしにくい文字を使用し、金額の頭には「金」を、末尾には「円」を記入すること、
 ?金額の訂正は行わないことです。

 ◆当座勘定規定上の取扱い◆
 当座勘定規定上は、復記のいかんにかかわらず、銀行は所定の金額欄記載の金額によって取り扱うことにしています。
 
 ◆総合判断◆
 では、小切手の所定の金額欄にチェックライターで「¥15,000,000※」と記載され、欄外に漢数字で「金壱千五百円」と書いてあればどうなるかというと、小切手法上は1,500円となるのに、当座勘定規定上は1,500万円として扱われることになってしまいます。しかし、小切手法は強行法規で、銀行が1,500万円として取り扱うことは許されていませんから、結局このような小切手は、銀行は取り扱わないことになります。

◆偽造手形を受取ってしまったら◆

A社の社員が偽造した手形が取引先であるB社から商品支払代金として当社に裏書譲渡されました。当社はこの手形の支払を受けることができるのでしょうか?

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◆手形の偽造と被偽造者の責任◆
 手形を偽造された者は、何ら手形行為を行なっていない以上、手形上の債務を負わないのが原則です。しかし、次のような場合には、例外的に被偽造者にも責任が認められることとなります。
(1)追認
 被偽造者が事後的に偽造者の振出を追認した場合には、振出は遡及的に有効となり、被偽造者は手形金の支払義務を負うことになります(民法116条類推)。
(2)表見責任
  偽造者に手形の振出権限が有るかのような外観があり、手形を取得した者が偽造者にこのような権限があると過失なく信じていたという事情があって、かつ、被偽造者にそれについて何らかの帰責事由があるような場合には、被偽造者も手形金の支払義務を負います。このような場合には、代理権のない者があたかも代理権を有するかのように振舞った場合の、本人の責任を定める民法上(民法109条、110条、112条)・商法上(商法42条、262条など)の表見代理に関する規定が類推適用されるのです。
  このようにして表見責任が認められ、偽造者から直接手形の振出を受けた受取人が手形金の支払いを受けることができる場合には、その後に受取人から手形の裏書譲渡を受けた者は、偽造された事実を知っていても知らなくても被偽造者に対して手形金の支払いを請求することができます。しかし、偽造の事実を知っていた場合のように、表見責任が成立せず、受取人が手形金の支払いを受けることができない場合には、受取人から手形の裏書譲渡を受けた者は、偽造された事実について過失なく知らなくても、被偽造者に対しそ手形金の支払いを請求することはできないというのが判例の考え方です。これに対しては学説の多くが批判を唱えており、偽造について過失なく知らずに裏書譲渡を受けた者も保護すべきとの主張が強くなされています。
〈3〉 使用者責任
 事業の執行について従業員など他人を使用している老は、その従業員が事業の執行につき第三者に損害を与えた場合には、その損害を賠償する義務を負う場合があります(民法′715条)ここで「事業の執行につき」とは、従業員の職務の範囲内の行為のみならず、その行為の外形からその従業員の職務の範囲内の行為に属するとみられる行為に基づく場合をも含みます。もっとも、職務の範囲外の行為によって損害を蒙った者については、職務の範囲外であったことについて知っていたか、知らなかったことについて落ち度の大きい(重過失)場合には、損害の賠償を求めることはできません。

◆手形の偽造と偽造者の責任◆
 手形を偽造した者は、手形金の支払義務を負います(手形法8条類推)。この義務と、被偽造者の表見責任とは併存するので、いずれに対して手形金の請求をなすことも自由です。しかし、手形を取得した者が、偽造されたことを知っていたか(悪意)、もしくは知らなかったことについて落ち度が大きい(重過失)場合には、そのような者を保護する必要がないため、手形を偽造しても偽造者は手形金の支払義務を負いません。

◆裏書人の責任◆
 手形の裏書人は、手形上の遡及義務を負っており、振出人が手形金を支払わない場合には、かわって手形金を支払わねばなりません(手形法15条、43条、44条)。振出と裏書とは、手形行為として別ですから、たとえ手形が偽造されたものであっても、裏書人はこの遡及義務を負うことになります(手形法7条手形行為独立の原則)。

◆A社に対する責任追及◆
 ご質問の場合でも、A社が何らかの事情で社員の振出を追認した場合、貴社はA社に対して振出人としての責任を追及し、手形金の支払を求めることができます。
 また、A社が手形を偽造した社員に手形振出の権限を与えているかのような外観を与えているような場合(民法109条)、手形行為に関連して別途何らかの権限を与せている場合(民法110条)、また、かつて手形振出の権限を与えていた場合(民法112条)、単なる使用人なのに支店長などの営業の主任者であることを示す肩書を与えていた場合、手形を偽造した社員が取締役であり、A社がその社員に社長、副社長、専務取締役、常務取締役などの会社を代表する権限を有するものと認められる肩書を与えていた場合などには、偽者に手形の振出権限があるかのような外観があり、かつ、A社にそれについて何らかの帰責事由があると言えるでしょう。したがって、このような場合に、B社が、偽造者に手形を振出す権限があるものと過失なく信じていたのであれば、貴社はA社に対して手形金の支払請求をすることができます。しかし、B社が偽造の事実を知っていたような場合には、現在の判例では、貴社がたとえ偽造について過失なく知らなくても、貴社はA社に対して手形金の支払いを請求することはできないということになります。この他、手形を偽造したA社の社員が、経理担当者で、日常的に手形事務に携わっているような場合には、貴社はA社に対してこの社員の偽造によってこうむった損害の賠償を求めることができる場合があります。

◆偽造した社員に対する責任追及◆
 貴社は、A社に対しての責任追及と並行して、この社員に対して手形金の支払を請求することができます。

◆B社に対する責任追及◆
 また、貴社は、B社に対しても、裏書人として手形金の請求をすることができます。

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◆「ウェブページのデータを改ざんされたら?」◆

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◆民事上の責任◆
 ウェブページが改ざんされた場合、改ざんした者に対する民事的請求権としては不法行為(民法709条)による損害賠償請求権です。改ざんが現実に続いている場合、その改ざん行為を差し止める仮処分も申立てできます。
 また、改ざんされたことについて、サーバの管理運営老であるプロバイダーに過失がある場合、利用契約の債務不履行責任として損害賠償請求が考えられます。                                           

◆刑事上の責任◆
 一般に、ウェプページを改ざんした者の刑事責任として考えられる犯罪名は、刑法上は、

 電磁的記録不正作出及び供用の罪(刑法161条の2)、
 電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条の2)、
 電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)、
 公用電磁的記録毀棄罪(刑法258条)、
 私用電磁的記録毀棄罪(刑法259条)、
 著作権法上は著作権侵害罪(著作権法119条)、
 不正アクセス行為の禁止等に関する法律による刑罰(不正アクセス行為の
 禁止等に関する法律3条・8条)

があり、それぞれの犯罪について要件該当性が検討されます。

 これらの犯罪にはそれぞれ異なる要件があり、ウェブべ−ジの改ざん部分が、文字なのか絵や写真の部分なのか、その結果、誰がどのような被害を被るのか等々いろいろな事実を検討する必要があります。さらに、改ざんの内容が、誹諺中傷である場合、名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法232条)に該当する場合もあります。
 これらの罪のうち、電磁的記録毀棄罪や著作権侵害罪、名誉毀損罪、侮辱罪は親告罪なので、刑事責任追及のためには告訴を要します。

◆行政上の届出◆
 行政上の届出として、ウェブページの改ざんは、コンピュータに対する不正アクセスですからIPA(情報処理振興事業協会)のISEC(セキュリティーセンター)に届出をすることになっています(平12・12・28通産告951)。届出をしなくても罰則はありまやん。また、IPA職員は、犯罪と判断しても告発義務はありません。その目的は不正アクセス・コソピュータウイルスの被害を集約・広報し、セキュリティ対策の意識を高めることにあるようです。

◆加害者の特定◆
 何よりまず、貴社のウェブページを改ざんした加害者が特定できるかが問題となります。特定できるなら、民事上の改ざん差止めのための保全処分や損害賠償請求をすることになりましょう。ただ、損害賠償についての額の算定はなかなか困難が伴うことが多いと思われます。
 また、加害者が判明してもしなくても、ウェブページの掲載を管理している契約相手であるプロバイダーに過失があり、そのため改ざんされたり、改ざんの発見が遅れたりし、損害が発生・拡大した場合、プロバイダーを、債務不履行責任として追及できます。ここではプロバイダー契約の内容・約款にどの程度の免責条項があるのか注意すべきです。
 本件においては刑事告訴をするべきです。加害者が不明でも告訴はできます。またIPAのISECにも届けておきましょう。これらの対応は、ウェプページの改ざん等の犯罪を防止するためです。

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