Bookmark this on Google Bookmarks

Home » 営業秘密 ‐ case2

営業秘密 ‐ case2解決バンク

独自に作成したマニュアルが他社で使用されていたら?

 

当社では、独自の接客マニュアルを作成し、社員全員に配付して統制を図っています。ところが、ライバル社が当社のマニュアルをそのまま使っていることがわかりました。当社としてはどのように対処すればよいのでしょうか。

 

【営業マニュアルは営業秘密なのか】

営業マニュアルが不正競争防止法2条4項にある3つの要件、すなわち、

  • 秘密として管理されているもの
  • 事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること
  • 公然と知られていないこと、に該当するもの

である場合には、営業秘密に当たりますので、これを窃盗、詐欺、強迫等によって不正に取得したり、保管されている場所に無断で侵入し、閲覧、コピー等をした者に対してはその使用や開示の差止めを請求することができることは言うでもありません。しかし通常、営業マニュアルは多数の営業担当者に配付されるものであるという性質上、どこまで秘密管理性があるのかということが問題となってくるでしょう。営業マニュアルにアクセスできる従業員についてだけでなく、保管場所についても特定がなされていない場合には秘密管理性を有しているとは言いがたいと思われます。また、営業マニュアルといっても、その営業に従事している者が営業活動上、自然に身につけるような事項や同業他社にとっても入手可能な情報に基づいて作成されているようなものは営業秘密には該当しないと考えられます。

 

【営業マニュアルの著作物性】

しかし、営業マニュアルが不正競争防止法の営業秘密に該当するかどうかとは別に、マニュアル自身が言語による著作であるという点からは、著作権法による保護も可能でしょう。もちろん営業マニュアルが著作権法のいう「思想又は感情を創作的に表現したもの」といえるのかには問題がでてくるでしょう。しかし、ゲートボールの競技規則書の競技規則を表現した部分について、「新たに創作されたスポーツ競技に閑し、その競技の仕方のうち、どの部分をいかなる形式、表現で競技規則として抽出、措定するかは著作者の思想を抜きにしてはおよそ考えられないことであり、…それは文化的所産というに足る創作性を備えているのであるから、その著作物性自体を否定し去ることはできない」と示した判例があることからは、営業マニュアルの場合も、新たに創作されたマニュアルについて、その営業指針、対応のうち、どの部分をいかなる形式、表現で営業マニュアルとして抽出、措定するかという点に創作性を認めると、著作物と考えられるでしょう。

 

【秘密管理性における問題】

ご質問のケースでは、貴社が独自に作成した接客マニュアルであっても、社員全員に配付している点から、秘密管理性に問題がありますので、当該マニュアルが営業秘密であるとは言い難いと思われます。それゆえに、ライバル会社がそのまま使用していたとしても、不正競争防止法による差止め請求や損害賠償請求はできないでしょう。

 

【著作権法のよる保護対象】

それでは、次に著作権法との関係を考えてみましょう。貴社の接客マニュアルが創作的に表現されているものである場合には、著作権法によって保護される可能性があります。しかし、著作権の保護対象は表現であり、特許権とは異なり、アイデアや理論等の思想感情自体にまで及ぶものではありません。ですから、単に他社のマニュアルに書かれている内容が貴社のマニュアルと同じというだけでは、著作権法による保護の対象とはならないのです。

 

【著作権侵害の場合】

しかし、貴社マニュアルそのままを使用しているというのであれば、著作権侵害の問題が出てきます。「著作権侵害とは既存の著作物に依拠し、これと同一性あるいは類似性のある作品を著作権者に無断で複製することによって生ずるもので仮に第三者が当該著作物と同一性のあるものを作成したとしても、その著作物の存在を知らず、これに依拠することなしに作成したとするならば、知らないことに過失があったとしても著作権侵害とはならない」、すなわち、著作権の場合、結果が同じであっても、他人の作品を模倣していなければ侵害とはなりません。しかし、模倣という心理状態を立証することは不可能に近いため、現実には他人の作品に依拠しているかと類似しているかという点から模倣を立証しています。ご質問のケースでは、貴社のマニュアルに依拠することなしに、ライバル会社がマニュアルを作成することが可能かどうかが問題になってきますが、貴社のマニュアルをそのまま流用しているというのであるなら、類似性を検討するまでもなく、依拠したことが推認できると考えてよいでしょう。そうなると、貴社の接客マニュアルの著作権侵害の可能性が極めて高いといえましょう。著作権侵害の場合の民事上の救済としては、著作者、・著作権者、出版権者、著作隣接権者が各自有する権利を侵害する者または侵害するおそれがある者に対して、その侵害の停止または予防を請求する権利である差止め請求権や民法の一般原則によって不法行為上の損害賠償請求権および不当利得返還請求権が認められています。

 

Sponsored by

Copyright(c) 2012 解決バンク All Rights Reserved.