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事業活動 ‐ case3解決バンク

偽造手形を受取ってしまったら

 

A社の社員が偽造した手形が取引先であるB社から商品支払代金として当社に裏書譲渡されました。当社はこの手形の支払を受けることができるのでしょうか?

 

【手形の偽造と被偽造者の責任】

手形を偽造された者は、何ら手形行為を行なっていない以上、手形上の債務を負わないのが原則です。しかし、次のような場合には、例外的に被偽造者にも責任が認められることとなります。

(1)追認

被偽造者が事後的に偽造者の振出を追認した場合には、振出は遡及的に有効となり、被偽造者は手形金の支払義務を負うことになります(民法116条類推)。

(2)表見責任

偽造者に手形の振出権限が有るかのような外観があり、手形を取得した者が偽造者にこのような権限があると過失なく信じていたという事情があって、かつ、被偽造者にそれについて何らかの帰責事由があるような場合には、被偽造者も手形金の支払義務を負います。このような場合には、代理権のない者があたかも代理権を有するかのように振舞った場合の、本人の責任を定める民法上(民法109条、110条、112条)・商法上(商法42条、262条など)の表見代理に関する規定が類推適用されるのです。

〈3〉 使用者責任

事業の執行について従業員など他人を使用している老は、その従業員が事業の執行につき第三者に損害を与えた場合には、その損害を賠償する義務を負う場合があります(民法′715条)ここで「事業の執行につき」とは、従業員の職務の範囲内の行為のみならず、その行為の外形からその従業員の職務の範囲内の行為に属するとみられる行為に基づく場合をも含みます。もっとも、職務の範囲外の行為によって損害を蒙った者については、職務の範囲外であったことについて知っていたか、知らなかったことについて落ち度の大きい(重過失)場合には、損害の賠償を求めることはできません。

 

【手形の偽造と偽造者の責任】

手形を偽造した者は、手形金の支払義務を負います(手形法8条類推)。この義務と、被偽造者の表見責任とは併存するので、いずれに対して手形金の請求をなすことも自由です。しかし、手形を取得した者が、偽造されたことを知っていたか(悪意)、もしくは知らなかったことについて落ち度が大きい(重過失)場合には、そのような者を保護する必要がないため、手形を偽造しても偽造者は手形金の支払義務を負いません。

 

【裏書人の責任】

手形の裏書人は、手形上の遡及義務を負っており、振出人が手形金を支払わない場合には、かわって手形金を支払わねばなりません(手形法15条、43条、44条)。振出と裏書とは、手形行為として別ですから、たとえ手形が偽造されたものであっても、裏書人はこの遡及義務を負うことになります(手形法7条手形行為独立の原則)。

 

【A社に対する責任追及】

ご質問の場合でも、A社が何らかの事情で社員の振出を追認した場合、貴社はA社に対して振出人としての責任を追及し、手形金の支払を求めることができます。
また、A社が手形を偽造した社員に手形振出の権限を与えているかのような外観を与えているような場合(民法109条)、手形行為に関連して別途何らかの権限を与せている場合(民法110条)、また、かつて手形振出の権限を与えていた場合(民法112条)、単なる使用人なのに支店長などの営業の主任者であることを示す肩書を与えていた場合、手形を偽造した社員が取締役であり、A社がその社員に社長、副社長、専務取締役、常務取締役などの会社を代表する権限を有するものと認められる肩書を与えていた場合などには、偽者に手形の振出権限があるかのような外観があり、かつ、A社にそれについて何らかの帰責事由があると言えるでしょう。したがって、このような場合に、B社が、偽造者に手形を振出す権限があるものと過失なく信じていたのであれば、貴社はA社に対して手形金の支払請求をすることができます。しかし、B社が偽造の事実を知っていたような場合には、現在の判例では、貴社がたとえ偽造について過失なく知らなくても、貴社はA社に対して手形金の支払いを請求することはできないということになります。この他、手形を偽造したA社の社員が、経理担当者で、日常的に手形事務に携わっているような場合には、貴社はA社に対してこの社員の偽造によってこうむった損害の賠償を求めることができる場合があります。

 

【偽造した社員に対する責任追及】

貴社は、A社に対しての責任追及と並行して、この社員に対して手形金の支払を請求することができます。

 

【B社に対する責任追及】

また、貴社は、B社に対しても、裏書人として手形金の請求をすることができます。

 

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