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事故・病気解決バンク

過労死の疑いがあるときは?

 

当社は少数精鋭をモットーに業務を行い、繁忙期には休日出勤や深夜まで仕事を続けることもよくあります。先日、社員Bが、心筋梗塞で業務中に突然倒れ、1か月後に死亡しました。Bの遺族からは、「これは過労死だ、責任を取ってくれ」といわれています。どのような対処をしたらよいでしょうか?

 

【厚生労働省の認定基準】

心筋梗塞で死亡した場合に、それが業務上災害に敏当するかどうかを労働基準監督者で判断する場合(行政解釈)の基準(平成13年に改正されました。)となる厚生労働省労働基準局長の通達は概略として次のとおりとなっています。
脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について(平13・12・12基発第1063号)
この認定基準は、脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症の脳血管疾患や心筋梗塞、狭心症、心停止、解離性大動脈癌の虚血性疾患について定めたもの です。これによると、これらの病気を発症した場合に業務上の疾病として労災保険の給付を得るには、次の基準を満たす必要があります。

 

(1)次のAないしCの業務による明らかな過重負荷を発症前に受けたこと

  • 発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的および場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと
  • 発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと
  • 発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと

 

(2)過重負荷を受けてから症状の出現までの時間的経過が医学上妥なものであること
   認定基準でいう(1)Aの「異常なできごと」とは、次のことです。

  • 極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起す突発的または予測困難な異常な事態
  • 緊急に強度の身体的負荷を強いられる突発的または予測困難な異常な事態
  • 急激で著しい作業環境の変化

 

同基準(1)Bの「特に過重な業務」短期間のもの)とは、日常業務に、比較して特に過重な身体的精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいいま す。また、業務による過重負荷と発症との時間的関連については、発症した直前1週間以内の業務が過重かどうかに重点を置いて判断することになっています。 同基準(1)Cの「特に過重な業務」(長期間のもの)も(1)Bと同じ業務ですが、過重負荷と発症との時間的関連については、発症前おおむね6か月以内の 業挙が過重かどうかを判断することになります。この厚生労働省の認定基準は、従前の基準に対してさまざまな批判があることをうけて検討され改正されたもの です。しかし、裁判になった場合には、裁判所はこれに拘束されるものではありませんので、これとは異なった判断がされる場合もあります。従来も、旧基準と は異なった判決が出されたことがあります。

 

【会社の兼任】

業務上の災害となった場合には、労災保険による補償がなされますが、さらに会社が安全配慮義務違反として損害賠僕責任を負う場合があります。例えば、会社 が過重な業務命令を行った場合や従業員が高血圧症であるなどの状況を知りながら生活指導上の配慮をしなかった場合など、会社に過失があると判断される場合 です。これらの場合は、労災保険で給付された範囲を超えて会社が損害賠僕義務を負います(慰謝料や賃金など)。ただし、本人にも過失がある場合には過失相殺が認められます。
業務上か業務外かによる相違
業務上の傷病は労災保険で扱われ、業務外の傷病は健康保険で扱われますが、それらの他に会社にとっては大きな違いがあります。業務上の場合には、次のことがいえます。

 

  • 療養期間中は解雇できない
  • 平均賃金の計算の結果が高くなる
  • 休業保障、障害保障、遺族補償などが支給される
  • 使用者の労災保険料が高くなる場合がある

 

その他に特に過労死であると認定された場合には、会社の民事責任のほか事業場の労務管理上精神的にも大きな影響を与えることになるので慎重な判断が求められます。

 

【業績の状況、健康状態を調査する】

「特に過重な業務」はなかったかどうかについて発症前1週間以内の状況(短期間のもの)、発症前6か月以内の状況(長期間のもの)を重点に調査し認定基準 に該当するかどうかを判断します。また、本人の健康診断の結果等から持病はなかったかどうか、もし何らかの病気があった場合には業務が適切であったかどう かなどを判断し、業務上でないと判断される場合には、遺族に対して詳しく説明をして理解を求める必要があります。

 

【必要な場合は異議申立てを行う】

通族が会社の判断にかかわりなく労災保険の申請手続をした場合(遺族補償給付請求書と葬祭料請求書を労働基準監督署長に提出した場合)には、過労死と認め られたならば会社の責任が生じたり職場に与える影響も大きいので、会社は事業主としての意見を書面により労働基準監督署に提出することができます。これに よって労働基準監督署長の判断を拘束するものではありませんが、判断の参考資料として活用されます。

 

【遺族が会社の責任を追及してきた場合】

遺族が過労死であるとして会社の責任を追及してきた場合、「過労死が出るはど従業員を働かせている」というイメージが広がることは会社にとって大きなマイ ナスですが、さらに「遺族は過労死を主張しており、それが起こる状況でもあったのに会社が認めようとしない」というイメージが広がることも大きなマイナス です。会社としては過労死といわれないように労働条件に配慮するとともに、遺族に対しても細心の注意をして対応する必要があります。

 

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