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社長さんになったら(3)解決バンク

3回にわたり、アイ・ポート埼玉代表 五十田三洞の、かつての雑誌連載記事を掲載します。

独立起業を目指す方、社長として日々邁進している方に向けて、世の多くの社長さんが抱える問題点の解決方法や社長さん方の苦労話を書いたものです。

連載コラムのタイトルは、「社長さんになったら」。
今回は第3回です。どうぞお仕事などにお役立て下さい!

 

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『社長さんになったら』第3回

■“理由なき怖れ”にとらわれていたら、
経営なんかできませんよ

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唐突ですが、皆さん、幽霊を見たことあります?

私自身は見たことはありませんが、見たことのある人
は知っています。誰あろう私の弟なんですよ。

かれこれ20年ほど前のこと。草木も眠る夜中の2時
頃、外出中の弟から電話が掛かって来まして、これから
友人と家に向かうから麻雀をしようと言う。喜んで飲み
物の支度なぞしながら弟たちの到着を待っていたんです。

やがて玄関の鍵を開ける音がした……と思う間もなく
階段を駆け上がってくる凄まじい音!いきなり部屋の戸
が引き開けられ、弟と友人が飛び込んで来た!その顔色
は真っ青で、立ちつくしたまま肩で息をし、見開いた目
で私の顔を見るばかり。半開きの口元は震えている……。

「どうした、何があった!」

そう聞く私に、弟はすぐには答えられない。ようやく
震える声でこう言ったんですよ。

「……そこで……今……幽霊見た!」

弟の話はこうでした。

家に向かう途中に教会があるんです。そのあたりは街
灯も少ない淋しい場所なのですが、血気盛んな酔漢2人、
怖れるはずもなく、家に向かって歩いていた。すると、
教会の脇に道に面して礼拝案内の白い看板が立っている
んですが、その看板に鼻先を付けるようにして立つ老人
らしい人影に気付いたそうなんですね。真夜中の道への
恐怖はないけれど、老人の様子はどう見てもうす気味悪
い。そこで弟たち2人は話をやめ、老人を迂回してその
場を通り過ぎようとした……その瞬間、ちらっと老人の
背中に視線を走らせたと言うんです。

すると、何としたことか!老人の背中ごしに教会の日
曜礼拝の案内の文字が読めてしまう……つまり、その老
人、透き通っていたと言うんですよ!それを見た弟は、
声も出ぬままに全力で走り出したそうなんです。

友人の方は弟のすぐ後ろを歩いていたのですが、こち
らも同じ光景を見、そして同時に走り出した……家に駆
け戻ってくるまで一言の言葉も交わしていないにもかか
わらず、呪縛から解き放たれたかのように発する2人の
言葉は、まさに同じ光景を物語っていました。これはも
う弟たちの言葉を信じる外はありません。

その後、麻雀が始まってしまえば、その出来事もただ
の話題の一つになってしまいましたが、私は今でも、夜
中にその道を通る折があると、ふとその話を思い出して
しまい、言葉に出来ぬ「理由なき怖れ」に、足を速めて
しまうことがあるんです。

こうしたプリミティブな「怖れ」は、未開人が皆既日
食を「神の怒り」と恐れるのと同じであり、恥じるもの
でも損をするものでもないでしょう。

ところが、これとほとんど同様のレベルとしか思えな
い「理由なき怖れ」を、極めて経済的かつ即物的行為で
ある経営の場において社長さんが抱いてしまっているケ
ースが非常に多いんですよ。経営コンサルタントという
仕事をしている私はそうしたシーンに毎日のように出く
わすのです。

夜道を歩くときに「理由なき怖れ」を感じ、思わず足
を早めてしまう……これなら自分に苦笑する程度で済む
でしょう。しかし、これがこと経営の場においてという
ことになれば「理由なき怖れ」が倒産への近道という事
態に直結してしまうんですね。これから起業・独立を目
指す皆さんは、このことを肝に銘じておく必要があるで
しょう。

では、その、社長さんが抱く「理由なき怖れ」とは具
体的にはどういうものか……簡単に言うと「明確な理由
もなくビビッて行動できない」という態度です。

あたかも未開人が皆既日食を神の怒りと怖れるような、
あるいは写真を撮られると魂を抜かれると信じるような、
単なる無知に起因する「理由なき怖れ」……これが事業
経営における行動を阻害した結果、社会から取り残され
る、ついには経営危機に瀕してしまうという事態を引き
おこすんです。実に頻繁に……。

あるお店でのこと。一応有限会社なんですが、家族と
アルバイトだけでやっている街の小売店です。社長と話
をしているうちに税務の話になったんですが、その店で
は税理士を雇っていると言う。ところがその顧問料が高
いんですよ、サービスの内容に比べて。そこで「税理士
さんを使うのをやめればいいじゃないですか?」と申し
上げると、社長さん「ウーン」と唸ったきり返事をしない。

これを役員である娘さんが聞いていて言ったんです。
「私も税理士いらないと思う。だってあの人、偉そうに
“無駄な経費を使うな”しか言わないけど、あの人に払
っているお金が一番無駄だと思う!」って。

まさにその通り。娘さんは乗り気なんですね。続けて
娘さんは私に「税理士さんがいなくて決算ができます?」
と聞きますので「失礼ながらこの規模の店舗で、利益が
出ていない状況であれば、決算なんて個人の確定申告と
変わりませんよ。それよりも数字を自分で把握できない
事の方が問題ですよ」と答えました。すると娘さん、社
長に「ほら!やっぱり税理士使うのやめようよ」と言い
ました。私も「やめちゃいなさいよ」と勧めたんですよ。

ところが社長さん、困った顔でうつむくばかり。私は
「娘さんがやる気になっているんですから、その方がい
いですよ。お店の将来を考えたって、次の経営者である
お嬢さんが数字を把握するべきでしょ?」と応援したん
です。

ところがそれでも社長さんは返事をしない。煮え切ら
ない態度に業を煮やした娘さん、ついに怒りましたね。
「何で私がこんなに言っているのに税理士が必要なのよ!
居なくなると何か困るワケ!」って。

そこで社長さん、ようやく言葉を発しましたな。
「……やっぱり税理士さんって必要だよ……居ないとマ
ズイよ……他所だって居るし……断れないし……」

まさにこれ「理由なき怖れ」ですよね。結果、この社
長さん、必要もない税理士への顧問料年間52万円プラ
スその税理士が連れてきた社会保険労務士への顧問料
12万、計64万円の無駄な出費を我慢している……こ
の会社にとっては大きな問題なんですよ。すぐにも大幅
な改革をしなければ半年後にはお店の改築費用のローン
が払えなくなってしまうことは明らかなのに「理由なき
怖れ」から些細な行動さえ出来ない……こうして終末へ
の道を歩んでしまうんです。

上記はほんの一例ですが、こうした社長さん、本当に
多いんです。イヤになるくらい。社会がもの凄いスピー
ドで進んでいるのに「理由なき怖れ」にとらわれてその
場でジーっとしている。税理士の解雇や給与制度の改革
をためらうなどはまだいい方で、朝礼のやり方、保険の
見直し、帳簿の改定から果ては事務用品を買う店の変更
まで、とにかくたくさんの何でもない事が「理由なき怖
れ」に阻まれて実施できないんですね。

これを改めるにはわずかの勇気と常の学習しかありま
せん。皆既日食が何故起こるかを理解していれば怖れる
ことはないのと同様、ごくごく基本的な知識さえあれば
「理由なき怖れ」から経営の危機を招くような事態の大
半は避けられるんですよ。つまり、大切なのは未開人的
経営に陥らぬための日頃の勉強!起業・独立を目指すみ
なさんは、このことをよーく覚えておいて下さいね。


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