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社長さんになったら(1)解決バンク

今日から3回にわたり、アイ・ポート埼玉代表 五十田三洞の、かつての雑誌連載記事を掲載します。

独立起業を目指す方、社長として日々邁進している方に向けて、世の多くの社長さんが抱える問題点の解決方法や社長さん方の苦労話を書いたものです。

連載コラムのタイトルは、「社長さんになったら」。
今回は第1回です。どうぞお仕事などにお役立て下さい!

 

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『社長さんになったら』第1回

■自分の女房も説得できない人は、独立なんてできませんよ

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私、経営コンサルタントなる仕事をやっております。
経営コンサルタントなどと聞くと、どうもうさんくさい存在と感じてしまう方も多いようですが、それも当然でして、総会屋さんや企業舎弟の方々も、しばしばこの「経営コンサルタント」なる看板を掲げてご商売をなさっているようです。

私がやっているのは全然違いますよ。
もっとずーっと地道でまっとうで、しかも効果のあがる仕事です。わかりやすく言えば、世の社長さん方が抱えているたくさんの悩みを、少しづつ整理してあげることで、お仕事のお手伝いをして差し上げるという仕事。

必然的に、社長さんの愚痴を聞くことが業務の大半となります。
愚痴も聞かずに「これで売上が伸びますよ」なんてことを言い出す一見知的な職業の人は、はっきり言って前記のうさんくさい方々と大差ありません。
お金を払っても損するだけです。

というわけで、このコーナーは、そんな「社長さんの愚痴の集積所」である私が、独立・起業を目指す皆さんに、社長さんになって初めてわかる苦労話や、世の多くの社長さんが抱える問題点の解決方といったことを、経験談としてご紹介しようというものです。

どうです、いかにも役に立ちそうなコーナーでしょ?

ということで、第1回目は、社長さんになる前、つまり、会社を辞めて独立・起業を目指す段階での話をしてみましょう。

何事も長続きせず、転職がクセになっている人はいざしらず、ある程度の期間にわたって在職していた会社を辞めるのは、それはそれは大いなる勇気を必要とするものです。安定した収入、慣れ親しんだ環境、獲得した地位、そうしたものをかなぐり捨てて、荒波の中に船出して行こうというのですから。

お世話になっている大先輩(女性の方です)から、かつて、こんな話を聞きました。

その大先輩のご友人のご主人様なんですが、その方、日本人なら誰でも知っている大企業の部長さん。近々取締役に就任の予定というところで、癌に罹っていることが判明したそうなんです。

幸い、早期に発見できたこともあって、手術は無事に成功。
再発の可能性も低く、無事退院ということになったのですが、その方、退院を間近に控えた病院のベッドで、ふと思い出したんです。自分は、会社を定年退職したら焼き鳥屋のオヤジになりたかったんだと。
癌であることは告知されていましたから、再発の可能性は低いとは言え、いつまたどうなるかはわからない。であるならば、今、焼き鳥屋をやらないと……やるなら今しかない……そう思ったそうなんです。

退院後、すぐに会社を退職。ご友人達はリハビリを兼ねた休養ぐらいに思っていたそうですが、実際はそれどころじゃない。何しろそれまではサラリーマン一筋ですから、飲食店のことなど何もわからない。そこで、休養とは正反対、焼き鳥屋に修行に行ったんですね。
そしてその後、退職金をはたいて自分のお店を開店したんです。

奥様にしてみれば、まさに驚天動地の展開ですよ。
「取締役になって、それから数年で定年。子供はすでに独立したし、退職金と年金でのんびりと老後を過ごそうと思っていたのに……」

そう、大企業の役員婦人という予定が、いきなり焼き鳥屋のオカミサンになってしまったのですから。

ところが、この奥様、偉いですよね。ご主人の決意に至る過程はよくわかっていらっしゃいますから、癌で手術と聞いた時の事を思えば、やる気に満ちたご主人の様子だけでも喜ばしいことと、何も言わずに一緒に修行に行ったそうなんです。

数年後、ご主人は以前にも増してお元気で、焼き鳥屋のオヤジとして働いている。奥様も、そのまま役員婦人と言っても通りそうな品のよい笑顔で、毎晩店に立っている。お店は不景気なんて関係なしの大繁盛。奥様、こうおっしゃったそうです。
「あの時は、本当に目の前が真っ暗になるような気がした。でも、今まで家族のために働いてくれた主人の希望なんだから、協力しなくてはいけないと思った。こんなに充実した毎日が来たのも、あの時、そう思ったおかげだ」って。

イイ話ですよね。こういう話を聞いて「その人は特別」とか「子供が独立しているから出来るんだよ」なんて上げ足を取るような言葉を吐く人は、きっと何をやっても楽しくない人なのでしょうね。
お察ししますが無視します。もちろん、独立・起業なんかしても失敗するだけでしょうね。そんな人、お客様だって好いてはくれませんから。

ただし、現実的には、こうしたケースは稀だからこその“イイ話”なのも事実でありまして、実際は、独立・起業を思い立っても途中で挫折してしまう場合の最も多い原因が「奥様の反対」なんですよ。

まあ、女性と言うものは、とかく現実的で“巣を守る”本能がプログラムされていますから、安定を捨てることに反対しても、それは仕方のないことかもしれません。

とは言え、そこは人間です。本能だけで生きているわけではありません。折角、新たな道に進もうと思い、その決意を思い切って打ち明けたのに、頭ごなしに「何考えてんのよ!」とか「冗談じゃないわよ!」なんて、目を吊り上げて叫ぶような配偶者には「そっちが本能で反対するなら、こっちだって本能のおもむくままに浮気してやる!」とでも言ってやりたくなります。

しかし、……ここが肝心なんですよ!
自分が本当に「やりたい!」と思ったことならば、それを、最良の協力者であり、パートナーであるべき奥様に、きちんと理解してもらえないようでは、たとえ独立・起業はできたとしても、成功はおぼつかないと思うのですよ。
なぜなら、最も身近な存在である奥様に、独立・起業の思いを理解してもらえない原因の多くは、日常生活において、相手を思いやる気持ちと、それに伴う行動が欠けていた結果なんですよ。コンサルティングをすると、ほぼ100%に近く、その結論に落ち着いてしまうんですから。

ところが、社長さんの仕事とは、端的に言えば「相手(=お客様)の気持ちに思いをはせ、その結果を反映した行動を実施すること」。
最も身近な存在である奥様にそれができなくては、お客様に対して出来るはずもないではありませんか。社長さんには、その能力がなければ仕事にならないのですから、成功なんて夢のまた夢……とい
うことになってしまいます。

つまり、奥様の同意と協力を得られるかどうかは、独立・起業に向けての踏絵だとも言えるのです。
「この人が言い出した事だから仕方ない」と、何も言わずに賛成した奥様を持つ起業家は、運が良
かったのではなく、それだけの資質を持ち、それに見合うだけの行動をしてきたのだということなのですよ。

ですから「独立・起業はしたいけど、きっと女房が反対するだろうなー」という皆さんは、まずはこの点をよーく考えてみることが必要だと、私は思うのであります。

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